パートタイム・有期雇用労働法|待遇差の説明の方法を解説(改正雇用管理指針・口頭と資料交付)

パートタイム・有期雇用労働法|待遇差の説明の方法 労働社会保険諸法令の基礎知識
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パートタイム労働者や有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いについて説明を求められたとき、どう説明すればよいのでしょうか。令和8年10月1日から適用された改正雇用管理指針(令和8年厚生労働省告示第202号)で、説明の方法が整理されました。資料をどう使うか、資料を渡しにくいときはどうするか、そして説明を求められていないときにどうするかまで書かれています。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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説明の方法は2つ

法第14条第2項の説明は、次のどちらかの方法で行います。

方法
①資料を活用し、口頭により説明する方法
②説明すべき事項を全て記載した、短時間・有期雇用労働者が容易に理解できる内容の資料を交付する等の方法

どちらの方法にも、資料が出てきます。資料を使わずに口頭だけで説明する、という方法は想定されていません。

①口頭で説明する場合

口頭で説明した場合は、説明に活用した資料その他の関連資料を交付することが望ましい、とされています。

話を聞いただけでは、後から内容を確かめられません。説明で使った資料を渡しておけば、労働者は読み返せますし、会社も「何を説明したか」の記録を残せます。

②資料を交付する場合

資料の交付だけで説明を済ませるなら、資料に「説明すべき事項を全て」書いてあることが条件です。説明すべき事項は、次の4つです。

事項中身
比較の対象となる通常の労働者職務の内容などが最も近いと事業主が判断する通常の労働者
待遇の相違の内容待遇に関する基準の違いの有無と、個別具体的な内容または基準
待遇の相違の理由待遇の性質・目的に照らして適切な事情に基づく理由
措置の決定で考慮した事項第6条〜第13条の各措置を決めるときに考慮したこと

正社員とパートタイム労働者の待遇を並べた一覧表は、待遇の相違の内容を示すにはとても便利です。けれども、それだけでは理由や、措置の決定で考慮した事項が抜けてしまいます。一覧表を渡しただけでは、②の方法に当たらないことがある点に注意してください。

資料を渡しにくいとき

比較の対象となる通常の労働者が1人しかいないと、その人の賃金額を資料に載せれば、個人の賃金がわかってしまいます。

指針は、労働者の個人情報などの漏えいを防ぐといった観点から資料を交付することが難しい場合でも、後から求めがあったときに資料を閲覧させるなどの工夫をするよう努める、としています。

実務では、次のような示し方が考えられます。

  • 賃金表や、等級ごとの賃金の幅で示す
  • 平均額やモデル賃金で示す
  • 資料は渡さず、その場で閲覧してもらうにとどめる

「容易に理解できる内容」とは

指針は、資料について「容易に理解できる内容」であることを求めています。専門用語や社内の略語を並べただけの資料では、説明したことになりません。

条文番号を並べるよりも、「なぜこの差があるのか」が伝わる書き方を心がけてください。たとえば「職務の内容が異なるため」とだけ書くのではなく、どの業務や責任が違うのかまで書くと、読み手に伝わります。

説明を求められていなくても

改正後の指針には、新しい項目が加わりました。説明の求めがない場合でも、労働契約の更新の際などに、次のことを行うのが望ましいとされています。

  • 待遇の相違の内容・理由について、容易に理解できる内容の資料を交付すること
  • 待遇の相違の内容・理由について、説明を求めることができると周知すること

理由として指針は、自分の待遇に納得していることが、待遇をめぐる紛争の防止につながる点を挙げています。

方法ごとの整理

場面すること水準
説明を求められた場合①資料を活用し口頭で説明、または②全て記載した資料を交付指針の措置
①で説明した場合活用した資料その他の関連資料を交付望ましい
資料の交付が難しい場合後から求められたら閲覧させるなどの工夫努める
説明を求められていない場合更新の際などに資料を交付、説明を求められることを周知望ましい

説明書を1つ作っておく

説明すべき事項を全て記載した説明書を1つ作っておくと、どの場面にも使えます。

  • ①口頭で説明するときの手元資料として
  • ②そのまま交付する資料として
  • 説明を求められていない人への、更新時の交付資料として

求められるたびに資料を作るより、あらかじめ1つ用意して、待遇を見直すたびに更新していくほうが確実です。

まとめ

  • 説明の方法は、①資料を活用して口頭で説明するか、②説明すべき事項を全て記載した資料を交付するかのどちらか
  • 口頭で説明したときは、使った資料を交付することが望ましい
  • 資料の交付だけで済ませるなら、比較の対象・待遇の相違の内容・理由・措置の決定で考慮した事項をすべて書く
  • 個人情報の関係で交付が難しいときは、閲覧させるなどの工夫をするよう努める
  • 説明を求められていなくても、更新の際などに資料を交付し、説明を求められることを周知するのが望ましい

参考資料