待遇の違いについて説明を求められたとき、会社は「待遇の相違の内容」と「待遇の相違の理由」を説明します。このうち「内容」について、施行通達は何を示せばよいかをかなり具体的に書いています。基準が同じか違うかを示したうえで、金額などの個別具体的な内容か、賃金規程などの基準を示します。
待遇の相違の内容で説明すること
雇用管理指針と施行通達によると、待遇の相違の内容として、次のことを説明します。
| 要素 | 必須か | 中身 |
|---|---|---|
| ①待遇に関する基準の相違の有無 | 必ず説明する | 待遇ごとに、決め方が同じか違うか |
| ②-1 待遇の個別具体的な内容 | ②のどちらかを説明する | 金額、平均額、上限・下限、標準的な内容など |
| ②-2 待遇に関する基準 | ②のどちらかを説明する | 賃金規程や等級表などの支給基準 |
①は必ず説明します。②は、個別具体的な内容と基準のどちらかを選びます。
①基準の相違の有無
まず、待遇ごとに、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者で決め方が同じか違うかを示します。
たとえば、基本給は、通常の労働者が職能給で、パートタイム労働者が時給制なら「基準が異なる」になります。通勤手当が、どちらも実費支給なら「基準は同一」です。
基準が同じか違うかで、次に書く「理由」の書き方も変わります。基準が同じなら、同じ基準の中でなぜ差が出ているのかを説明します。基準が違うなら、なぜ基準を分けているのかを説明することになります。
②-1 個別具体的な内容
施行通達は、比較対象の単位に応じて、示し方の例を挙げています。
| 比較対象 | 数量的な待遇(賃金など) | 数量的でない待遇(教育訓練など) |
|---|---|---|
| 一人 | その金額 | その内容 |
| 複数人・雇用管理区分 | 平均額または上限・下限 | 標準的な内容、または最も高い水準・最も低い水準の内容 |
比較対象を一人に絞ったのか、雇用管理区分やモデルで選んだのかによって、示し方が決まります。比較対象の選び方と、内容の示し方はつながっているのです。
②-2 待遇に関する基準
基準で説明する場合、たとえば賃金なら、賃金規程や等級表などの支給基準を説明します。
ただし施行通達は、説明を求めた短時間・有期雇用労働者が、比較の対象となる通常の労働者の待遇の水準を把握できるものである必要がある、としています。
「賃金は、能力や経験などを総合的に勘案して決定する」とだけ書いても、比べる相手の賃金がどのくらいなのかはわかりません。等級ごとの賃金の幅がわかる等級表のように、水準が読み取れるものを示してください。
書き方のコツ
- 待遇ごとに1行ずつ並べる(基本給、賞与、各種手当、福利厚生、教育訓練)
- 「支給なし」も必ず書く。差がある待遇こそ、説明の対象になる
- 金額は、比較対象の単位に合わせて示す(一人なら金額、雇用管理区分なら平均額か幅)
一覧表にすると、たとえば次のようになります。
| 待遇 | 基準の相違 | 通常の労働者 | パートタイム労働者 |
|---|---|---|---|
| 基本給 | あり | 職能給:月額〇〇万円〜〇〇万円(〇級) | 時給制:〇〇〇円〜〇〇〇円 |
| 賞与 | あり | 年2回、基本給の〇か月分(平均) | 年2回、寸志〇万円 |
| 通勤手当 | なし | 実費支給(上限〇万円) | 実費支給(上限〇万円) |
| 住宅手当 | あり | 月額〇万円(転居を伴う配置の変更がある者) | 支給なし |
この表が示しているのは「内容」だけです。右に「理由」の欄を足すと、説明書の骨格になります。それでも、第6条から第13条までの措置を決めるときに考慮した事項は入りません。こちらは別の資料で整理しておく必要があります。
個人情報への配慮
比較対象が一人だと、その人の賃金額がわかってしまいます。雇用管理区分や標準的なモデルを比較対象にして、平均額や幅で示す方法を検討してください。
まとめ
- 待遇の相違の内容として、基準の相違の有無を必ず説明する
- そのうえで、個別具体的な内容か、待遇に関する基準のどちらかを説明する
- 個別具体的な内容は、比較対象が一人なら金額、複数人なら平均額や上限・下限で示す
- 基準で示す場合は、比べる相手の待遇の水準がわかるものでなければならない
- 一覧表だけでは、理由と、措置の決定で考慮した事項が抜ける
