自律的管理の土台となるのが、化学物質の危険有害性情報を伝える「ラベル表示・SDS(安全データシート)」と、それを活用する「リスクアセスメント」です。
この記事では、これら3つの仕組みと、対象物質の大幅な拡大について解説します。
3つは「ワンセット」の情報伝達の仕組み
- ラベル表示(容器・包装に危険有害性を表示)
- SDS交付(安全データシートで詳細情報を伝達)
- リスクアセスメント(①②の情報をもとにリスクを評価)
譲渡提供者が①②で情報を伝え、使う側が③でその情報を活用する、という一連の流れになっています。
対象物質(リスクアセスメント対象物)の大幅拡大
GHS分類で危険性・有害性が確認された物質が、順次追加されています。
- 改正前:約674物質
- 2024年4月:約900物質規模
- 2026年4月:約2,900物質規模へ
規定の方式も、個々の物質名を列挙する方式から、対象物質の性質や基準を包括的に示して外枠を規定する方式へと変更されました。
SDS(安全データシート)の主な改正点(3つ)
- 「人体に及ぼす作用」を5年以内ごとに1回確認し、変更があれば確認後1年以内に更新・通知する
- 通知事項に「想定される用途・使用上の注意」を追加する
- 成分の含有量表記を「10%刻み」から「重量%」へ変更する
なお、SDSの交付手段は、相手方の承諾を要さず、電子メール・二次元コード・ホームページ等によることも可能になりました。
ラベル表示の場面拡大(事業場内)
ラベル表示は、譲渡提供時だけでなく、事業場内でも次の場合に表示等が必要です。
- ラベル表示対象物を他の容器に移し替えて保管する場合
- 自ら製造した対象物を容器に入れて保管する場合
これは、「中身が分からない容器」をなくし、誤使用・事故を防ぐためのものです。
2025年改正での強化(2025年5月14日公布)
2025年5月14日公布の改正により、SDS交付義務違反等に対する罰則が新設され、情報伝達の実効性がさらに高められました。
むすび
「伝える(ラベル・SDS)」と「評価する(リスクアセスメント)」は、一体の仕組みです。
対象物質が数千規模にまで拡大したことで、ほぼすべての化学物質取扱事業場が自律的管理の対象になりつつあります。
自社が扱う物質がラベル・SDS・リスクアセスメントの対象かどうかを確認することが、対応の第一歩となります。
