自律的管理の中核は、リスクアセスメントを行い、その結果に基づいて労働者のばく露を減らすことです。
この記事では、リスクアセスメントの実施・ばく露低減措置の優先順位・濃度基準値について解説します。
リスクアセスメント(RA)の実施義務
リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う事業場は、リスクアセスメントを実施しなければなりません(法第57条の3)。
実施時期は、対象物を新規に採用したとき・変更したとき、作業方法を変更したとき等です。リスクアセスメント自体は平成28年から義務化されています。
ばく露低減措置とその「優先順位」(則第577条の2第1項)
事業者は、労働者のばく露を「最小限度」にする義務を負います。措置は、次の優先順位で検討します。
- 危険性・有害性の低い物質への代替
- 発散源の密閉・局所排気装置・全体換気装置等(工学的対策)
- 作業方法の改善(作業手順・管理的対策)
- 有効な呼吸用保護具の使用
ここで重要なのは、保護具が最優先ではないという点です。保護具は、他の対策を検討したうえでの「最後の手段」と位置づけられています。
濃度基準値(則第577条の2第2項・2024年4月〜)
リスクアセスメント対象物のうち、厚生労働大臣が定める「濃度基準値設定物質」については、屋内作業場で労働者のばく露を「濃度基準値以下」にしなければなりません(義務)。
- 8時間濃度基準値/短時間(15分)濃度基準値
- 濃度基準値を超えるおそれがある場合は「確認測定」を実施
記録の作成・保存(則第577条の2)
講じた措置・ばく露状況等について、1年以内ごとに記録を作成し、保存します。
- 原則3年間保存
- がん原性物質に係る「ばく露状況」「作業記録」は30年間保存
衛生委員会での調査審議(義務)
ばく露低減措置・濃度基準値以下とする措置・リスクアセスメント対象物健康診断等については、衛生委員会で調査審議します(労働者数50人未満の事業場は、関係労働者からの意見聴取の機会を設ける)。
むすび
自律的管理では、「ばく露を最小限にする」ことが大原則です。措置は、代替>工学的対策>作業改善>保護具という優先順位を守って検討する必要があり、保護具に頼り切るのは適切ではありません。
濃度基準値設定物質については、その値以下とすることが義務であり、超えるおそれがある場合は確認測定が求められます。

