この記事では、月額賃金改善要件を補足したうえで、職場環境等要件(6区分28項目)と、令和8年度に新設された令和8年度特例要件について解説します。
①月額賃金改善要件(先に補足)
月額賃金改善要件は、処遇改善加算Ⅳの加算額の2分の1以上を「基本給等」の改善に充てる要件です。ここでいう「基本給等」とは、基本給、または決まって毎月支払われる手当のことです。Ⅳ以外の区分を算定する場合でも、基準は「仮にⅣを算定する場合の加算額の2分の1以上」です。
なお、これまで加算を原資として支給していた手当や一時金を、月額賃金に「付け替える」ことでも、この要件を満たせます。賃金の総額を新たに増やす必要は、必ずしもありません。ただし、新しい加算をきっかけに月額賃金を引き上げる場合は、ベースアップで行うのが基本です。
⑦職場環境等要件とは
職場環境等要件は、職員が働きやすい職場づくりの取組を求める要件です。
6区分・全28項目から、区分ごとに定められた数を実施します。
28項目の「6区分」と項目数
- a 入職促進に向けた取組(4項目)
- b 資質の向上やキャリアアップに向けた支援(4項目)
- c 両立支援・多様な働き方の推進(5項目)
- d 腰痛を含む心身の健康管理(4項目)
- e 生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組(7項目)
- f やりがい・働きがいの醸成(4項目)
区分ごとに必要な取組数(令和8年6月以降)
加算Ⅳ・Ⅲは、各区分から1以上(生産性向上の区分は2以上)、かつ全体から8以上の取組を実施します。
加算Ⅰ・Ⅱは、各区分から2以上(生産性向上の区分は3以上、うち⑱が必須)、かつ全体から14以上の取組を実施し、さらに見える化要件(公表)が必要です。
見える化(Ⅰ・Ⅱ系の義務)
Ⅰ・Ⅱ系の区分では、職場環境等の改善の取組を「公表」することが義務です。
障害福祉サービス等情報公表制度を活用して取組項目・具体的内容を記載するとともに、自社のホームページ等、外部から見える形で公表します。
さらに、処遇改善加算Ⅰ又はⅡ及び処遇改善加算Ⅰイ、Ⅰロ、Ⅱイ又はⅡロを算定する場合は、職場環境等の改善に係る取組について、ホームページへの掲載等により公表すること。具体的には、障害福祉サービス等情報公表制度を活用し、処遇改善加算の算定状況を報告するとともに、職場環境等要件を満たすために実施した取組項目及びその具体的な取組内容を記載すること。当該制度以外においても、各事業者のホームページを活用する等、外部から見える形で公表すること。
「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分)|障障発0331第1号・こ支障第78号 令和8年3月31日
⑧令和8年度特例要件(Ⅰロ・Ⅱロの上乗せに必要)
令和8年度特例要件は、次の(ア)(イ)いずれかと、(ウ)を満たすことが必要です。
- (ア)f(生産性向上)から5以上の取組(うち⑱・㉑は必須)を実施すること
- (イ)法人が社会福祉連携推進法人に所属していること
- (ウ)処遇改善加算Ⅱロ(一部のサービスはⅠロ)の加算額の2分の1以上を基本給等の改善に充てること
これは、令和8年6月以降の「ロ」区分の上乗せに対応する要件です。
むすび
職場環境等要件は、6区分28項目から区分ごとに定められた数を選んで実施する仕組みです。
加算Ⅰ・Ⅱは取組数が多く、加えて見える化(公表)が義務となります。
さらに「ロ」区分の上乗せを得るには、生産性向上・協働化を内容とする令和8年度特例要件を満たすことが鍵となります。

