こども性暴力防止法|確認完了までの扱いといとま特例の必要な措置を解説(3月以内・一対一にさせない)

こども性暴力防止法|確認完了までの扱いといとま特例の必要な措置 労働社会保険諸法令の基礎知識
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犯罪事実確認が終わるまでの間、従事者をどう働かせればよいのか。「確認が済むまではこどもと1対1にさせない」という話を聞いて、全員に必要だと受け止めている事業所もあるかもしれません。実際には、施行時現職者と新規採用者とで扱いが違います。ガイドラインをもとに、確認完了までの扱いと、例外である「いとま特例」の必要な措置を整理しました。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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誰に暫定措置が必要か

確認が終わるまでの間に特別な措置が必要になるのは、全員ではありません。

対象確認完了までの扱い
施行時現職者(施行時点で従事・内定)確認が終わるまでの間も、通常どおり業務に就く
新規採用者等原則として、業務に就く前に確認を終える

施行時現職者は、施行後3年以内の申請対象月に確認を受けます。確認の結果、特定性犯罪事実該当者であると判明した場合には、対象業務に従事させないよう、配置転換等の措置を行わなければなりません。

新規採用者等は、業務に就く前に確認を終えるのが原則です。その例外として設けられているのが「いとま特例」です。

いとま特例とは

いとま特例は、次の場合に、確認の期限を後ろにずらすことを認める仕組みです(法第4条第2項)。

  • 従事者に急な欠員を生じた場合その他のやむを得ない事情があり
  • 業務を行わせるまでに犯罪事実確認を行ういとまがなく
  • 直ちにその者に業務を行わせなければ事業の運営に著しい支障が生ずるとき

この場合、業務に従事させた日から3月以内(一定の場合は6月以内)に確認を行えばよいとされています。

ガイドラインは、いとま特例について「真に必要な場合にのみ適用されるもの」としています。業務に就く前に確認を終えるという原則の、例外的な取扱いだからです。

確認の期限

学校設置者等の場合、期限は次のように整理されています。

やむを得ない事情の分類期限
新規採用、異動、事業者間契約(派遣・請負など)従事開始から3月以内
組織変更等(合併・事業譲渡など)、許認可の遅れ、十分な余裕をもって申請したのに交付が間に合わない場合など従事開始から6月以内

3月以内とされる場合でも、期限までに十分な余裕をもって交付を申請したのに交付を受けられないときは、期限が6月以内になります。

やむを得ない事情の例

ガイドラインは、「やむを得ない事情」として認められる例と認められない例を示しています。新規採用では、次のとおりです。

例
認められる例急な病欠や辞職、採用辞退などにより、代替要員を採用して従事させる場合
認められる例欠員が予見されたため採用活動を続けてきたが応募がなく、従事予定日の直前や予定日を過ぎてから採用できた場合
認められない例定年退職など欠員を予見できたのに、計画的に採用活動を行わなかった場合
認められない例確認を終えるまでの間、法人本部などでこどもと接しない業務に就かせても、事業運営に著しい支障が生じない場合

いとま特例で確認前に業務に就かせた場合、事業者は「やむを得ない事情」に該当することを証する書類等を保存しなければなりません。

確認までの間の「必要な措置」

いとま特例を使う場合、事業者は、確認を行うまでの間、その従事者を特定性犯罪事実該当者とみなして必要な措置を講じなければなりません(法第4条第2項ただし書)。

前提

  • 可能な限り速やかに犯罪事実確認を行う
  • いとま特例の対象となること、講じる措置の内容、違反した場合は処分の対象となることなどを、採用段階などを通してあらかじめ本人に伝える
  • 必要に応じて、こどもや保護者にも、いとま特例を使う場面があり得ることを説明し、理解を得る

基本対応

  1. 原則として、こどもといとま特例の対象となる従事者を一対一にさせない
    • 例:こどもに対する業務ではなく研修などの時間を優先的に充てる、一人になりやすいシフトは組まない
  2. いとま特例の趣旨や必要な措置、児童対象性暴力等の防止に関する研修を受講させる
  3. 管理職が定期的に巡回し、声掛けなどを行う

1〜3は、いずれも講じる必要があります。研修を受けさせたり巡回したりすれば一対一にさせない対応が不要になる、というものではありません。

「一対一」の考え方

従事者一人に対してこどもが複数人いても、未就学児や障害児など、発達段階や障害の特性によって異変を認識したり周りの大人に説明したりできない状況であれば、「一対一」の状況とみなされます。

保育所や放課後等デイサービスでは、従事者一人が複数のこどもを見ている場面でも、この考え方に当てはまることがあります。シフトを組むときに注意してください。

やむを得ず一対一になる場合

一対一にさせないことが原則ですが、ガイドラインは、例外的にやむを得ず一対一になる場合を認めています。

  • 業務の性質上、一対一でなければ適切な対応ができない場合(スクールカウンセラー等との面談など)
  • 突発的な事件・事故への対応など、こどもの安全確保のために一対一で対応せざるを得ない場合
  • 法の施行後に、許認可等により新たに学校設置者等となる場合で、許認可等の日と運営開始日の間がないとき

ただし、通常のシフトに組み入れて長時間一対一にさせることを前提とした取扱いは、原則として認められません。

やむを得ず一対一になる場合(3つめの場合を除く)は、次の対応が必要です。

  • 原則として、事前に管理職等に、時間・場所・対象のこども・一対一になる必要性などを説明して了解を得て、事後に完了報告を行う
  • できるだけ外から見える場所(中の様子が外から確認できる教室、防犯カメラのある個室など)や、リモートで行うことを検討する

まとめ

  • 施行時現職者は、確認が終わるまでの間も通常どおり業務に就く。該当者と判明すれば配置転換等の措置が必要
  • 新規採用者等は、業務に就く前に確認を終えるのが原則
  • いとま特例は、やむを得ない事情がある場合に限り、従事開始から3月以内(一定の場合は6月以内)の確認を認める例外
  • いとま特例を使う間は、特定性犯罪事実該当者とみなし、一対一にさせない・研修・管理職の巡回の3つをすべて講じる
  • 未就学児や障害児の場合、従事者一人に複数のこどもでも「一対一」とみなされることがある

いとま特例は、あくまで例外です。使うのであれば、その従事者を「みなし該当者」として扱う体制を組んでおいてください。

参考資料