処遇改善加算は、賃金改善を実施した後に実績報告書で報告し、その内容によっては返還が生じることもあります。この記事では、実績報告書の作成と返還リスク、そしてその回避策について解説します。
実績報告書とは
実績報告書は、その年度に「計画どおり賃金改善を行ったか」を報告する書類です(別紙様式3)。
期日は、各事業年度の翌年度の7月末までです(例:4月〜翌3月分の実績を、翌年度7月31日までに報告)。報告書は、根拠資料とあわせて2年間保存します(通達「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分))より)。
なお、自治体によっては、報酬の返還請求の消滅時効(5年)に合わせて、関係書類の保存年限を5年とするローカルルールを設けている場合があります。提出先の自治体の定めを確認しておくこと必要です。
最重要|賃金改善額が加算額を下回ると「返還」
処遇改善加算の算定要件は、「賃金改善額が加算額以上であること」です。
そのため、実績報告で賃金改善額が加算額を下回ると、算定要件を満たさないものとして、加算が返還の対象になります。
返還を避ける救済措置
不足する部分を、賞与等の一時金として福祉・介護職員等に追加的に配分すれば、返還を求めない取扱いとして差し支えないとされています。
したがって、賃金改善額が加算額を下回りそうな場合は、賃金改善実施期間の期末までに、一時金の追加配分で穴埋めすることが有効です。
事業所を廃止する場合の注意
事業所を廃止する場合は、最終の賃金支払までに加算額以上の賃金改善を行う必要があります。翌々月払い(報酬受領後に支払う)で運用していた事業所が廃止になる場合は、最終月に複数月分の賃金改善を一時金で精算する必要があります。賃金改善を行えなかった月の加算は、返還の対象となります。
運用の勘所
返還リスクを防ぐには、日々の運用が重要です。給与明細に「処遇改善手当」といった専用の項目を設けて、いくら支給したかを明確にしておくこと。処遇改善に関する収入と支出を、管理簿などで毎月記録・管理しておくこと。そして、計画額と実績額のズレを期中にモニタリングし、不足が見込まれたら一時金で追加配分すること。この期中のモニタリングが、返還リスクを防ぐ鍵になります。
むすび
実績報告の核心は、「賃金改善額≧加算額」を実証することです。
下回れば返還の対象となりますが、一時金の追加配分によって回避できます。
廃止時には、最終支払までに加算額以上の改善を完了させる必要があります。期中のモニタリングと記録の整備が、返還リスクを防ぐ鍵となります。
