福祉・介護職員等処遇改善加算|就業規則・賃金規程の整備と研修体制を解説(キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲ)

福祉・介護職員等処遇改善加算|就業規則・賃金規程の整備と研修体制を解説(キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲ) 労働社会保険諸法令の基礎知識
この記事は約3分で読めます。

処遇改善加算の上位区分を取得するには、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲの整備が不可欠です。

この記事では、就業規則・賃金規程の整備(要件Ⅰ・Ⅲ)と研修体制の整備(要件Ⅱ)について、具体的に解説します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
-----------------
博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
-----------------
医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
-----------------
オンライン相談(Zoom)で全国対応
まずは無料相談(30分)から
【無料相談お申し込み】

\【就業規則ラボ】就業規則の知識を毎日お届け!フォローすると労務リスクに強くなります/

なぜ整備が「加算の鍵」なのか

キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは、事業所が能動的に整備する要件です。いずれも「整備+周知」が必須で、作って終わりではなく、職員に伝えるところまでが要件です。

要件Ⅰ:任用要件・賃金体系の整備(5つの要素)

キャリアパス要件Ⅰは、大きく5つの要素に分けられます。

一つ目は職位です。例えば訪問系であれば、上級・中級・初級というように、直接処遇を行う職員として2段階以上の職位を定めます。ここで注意すべきは、管理者・サービス提供責任者・生活相談員・計画作成担当者といった、指定基準上当然に配置する職種だけを定めても要件を満たさない、という点です。職位の名称は法人独自のもので構わず、該当する職員が今いなくても定めておくことが大切です。

二つ目は職責・職務内容です。定めた職位の間で、職責や職務内容がどう違うのかを定めます。

三つ目は任用要件です。上位の職位になるための条件を定めます。例えば、サービス提供が一定時間以上(経験)、介護福祉士の有資格者であること(資格)、法人が実施する昇任試験に合格すること(評価)などです。

四つ目は賃金体系です。職位に応じて給与表を分ける、あるいは上位の職位に手当をつけるなどして、各職位に対応する賃金を明示します。

五つ目は書面での整備です。以上の内容を就業規則や給与規程に記載し、福祉・介護職員へ周知します。就業規則とは別に、キャリアパス表として定めても構いません。

実務上、届出をしただけで職員へ周知されていなかったり、途中入社の職員に説明が漏れていたりして、トラブルにつながる事例があります。整備するだけでなく、全職員にきちんと周知し、十分に説明することが大切です。

要件Ⅱ:研修の実施(目標設定と周知は必須)

キャリアパス要件Ⅱは、目標設定と周知が必須です。まず、福祉・介護職員との意見交換を踏まえた、資質向上のための目標を設定します。そのうえで、研修の機会提供等(研修計画に基づく研修の実施・技術指導など)、または資格取得支援(受講料・交通費の援助、シフト調整など)のいずれかを実施し、これらを全職員に周知します。

なお、資質向上のための計画には様式・計画期間の定めはなく、賃金改善実施期間と一致していなくても差し支えありません。能力評価は、個別面談などで、職員の自己評価に対し先輩職員・管理者等が評価する手法が想定されています。

要件Ⅲ:昇給の仕組みの整備

キャリアパス要件Ⅲは、次のいずれかの昇給の仕組みを整備し、明文化します。

  • a 経験に応じて昇給(勤続年数・経験年数)
  • b 資格等に応じて昇給(介護福祉士等の取得・研修修了)
  • c 定期に昇給を判定(人事評価等)。客観的な評価基準・昇給条件・判定時期の明文化が必要です

「就業規則等」の“等”とは

「就業規則等」の「等」には、法人全体の取扱要領や、就業規則の作成義務がない事業場(常時雇用する者が10人未満)の内規等が含まれます。

10人未満の事業場でも、内規等の整備・周知によって要件を満たすことができます。なお、別紙様式2の参考2に、キャリアパス・賃金規程のモデル例が掲載されています。

リスクの低減(不利益変更の回避等)を同時に実現できる点に、専門家が関与する価値があります。

むすび

キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲは、「整備+周知」が生命線です。要件Ⅰ・Ⅲは規程に明記し、要件Ⅱは研修計画の目標設定・実施・周知を行います。

10人未満の事業場は内規等でも対応でき、モデル例(参考2)を活用できます。