処遇改善加算の取得を検討するうえで、まず理解すべきは「加算額がどう決まるか」と「受け取った加算をどう賃金改善に充てるか」です。この記事では、加算の算定の仕組みと、賃金改善の基本的な考え方について解説します。
加算額はどう決まるか(算定の仕組み)
加算額は、総単位数に加算率を乗じて算定します。総単位数とは、基本サービス費に各種の加算・減算を加えた、1月あたりの単位数です。ここで大事なのは、この加算減算には処遇改善加算「以外」のものが入る、という点です。つまり処遇改善加算は、他の加算をすべて足し合わせた後の総単位数に対して率を掛ける、という構造です。加算率は、加算区分ごと、サービス類型ごとに設定されています。
加算率は時期で2段階(令和8年度)
令和8年度は、加算率が時期で2段階に分かれます。令和8年4月・5月は改定前(令和7年度と同じ)の加算率、令和8年6月以降は改定後の加算率が適用されます。
例えば居宅介護の加算Ⅳで見ると、4月・5月は27.3%、6月以降は30.2%と、6月から率が上がっています。さらに6月以降は、計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援にも拡大されます。
賃金改善の基本的な考え方
賃金改善には、次の4つの基本的な考え方があります。
一つ目、対象となるのは基本給・手当・賞与等です。ただし退職手当は除きます。
二つ目、賃金水準を低下させないことが原則です。加算で上乗せした分はもちろん、既存の給与についても水準を下げてはいけません。
三つ目、安定的な処遇改善のためには「基本給による改善が望ましい」とされています。
四つ目、令和7年度から増えた加算額分については、新たな賃金改善が必要であり、その新規分は原則としてベースアップで行います。ベースアップとは、賃金表そのものを改訂して基本給等を一律に引き上げることです。
職種間の配分ルール
経験・技能のある福祉・介護職員の処遇改善を重視しつつ、事業所内で柔軟な配分が可能です。ただし、一部の職員や一部の事業所へ著しく偏った配分をすることは認められません。
賃金改善実施期間の設定
賃金をいつ支払うかは、次の3つのパターンから任意に選択できます。
- サービスを提供した月に支払うパターン
- 提供月の翌月に支払うパターン
- 提供月の翌々月に支払うパターン
翌々月のパターンは、加算が実際に事業所に振り込まれるのが2か月後だからです。
なお、配分のあり方については、あらかじめ労使の合意を得るよう努めてください。
むすび
加算額は「総単位数×加算率」で決まり、前年度から増えた分はベースアップによる賃金改善を行うのが基本です。配分は柔軟に認められる一方、職務や勤務実態に見合わない著しい偏りは認められません。支払い時期は3パターンから任意に選択できます。
