福祉・介護職員等処遇改善加算|特別事情届出書と不利益変更・労使合意を解説

福祉・介護職員等処遇改善加算|特別事情届出書と不利益変更・労使合意を解説 労働社会保険諸法令の基礎知識
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処遇改善加算では、賃金水準を下げないことが大原則ですが、事業継続のためやむを得ず引き下げる場面もあります。

この記事では、特別事情届出書と、不利益変更・労使合意について解説します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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大原則|賃金水準は「下げない」のが基本

処遇改善加算では、対象とした賃金項目を含め、賃金水準(賃金の高さの水準)を低下させてはならないのが原則です。加算による賃金改善は、既存の賃金に「上乗せ」するものだからです。

例外|事業継続のためやむを得ず下げる場合

サービス利用者数の大幅な減少等によって経営が悪化し、事業の継続が著しく困難な場合には、賃金水準を引き下げた上で賃金改善を行うことがあり得ます。この場合は、「特別事情届出書(別紙様式5)」の提出が必要です。

特別事情届出書に書く4つの事項(通知5(2))

①経営悪化の状況(収支が赤字である、資金繰りに支障が生じる等を示す内容)
②福祉・介護職員等の賃金水準の引下げの内容
③法人の経営・賃金水準の改善の見込み
④引下げについて適切に労使合意を得ている等の手続き(労使合意の時期・方法)

なお、年度を超えて引き下げる場合は、翌年度の申請時に特別事情届出書を再提出する必要があります。

「全体水準」で判断する

特別事情届出書が必要となるのは、「賃金全体の水準」が引き下げられた場合です。

基本給を上げて賞与を下げた等、個々の賃金項目が低下しても、賃金全体の水準が下がっていなければ、届出は不要です。また、一部の職員の賃金を下げても、事業所全体の水準が下がらなければ、届出は不要です(ただし、後述の労使合意は別途必要です)。

不利益変更と労使合意

賃金水準の引下げや、一部職員の賃金引下げは、「不利益変更」に該当します。就業規則の不利益変更に当たる場合は、合理的な理由に基づき、適切に労使の合意を得る必要があります。

なお、賞与等において業績に連動して支払額が変動する部分が、業績に応じて変動すること自体は妨げられません。ただし、処遇改善加算に係る賃金改善は、こうした変動と明確に区分されている必要があります(例:賃金台帳上で手当等の支給名目を分ける等)。

改善したら「速やかに戻す」

賃金水準を引き下げた要因である特別な状況が改善した場合は、可能な限り速やかに、福祉・介護職員等の賃金水準を引下げ前の水準に戻す必要があります。あくまでも、一時的な措置、ということです。

むすび

処遇改善加算は、賃金水準を下げないことが大原則であり、やむを得ず下げる場合は特別事情届出書の提出が必要です。判断は「賃金全体の水準」が下がったかどうかで行い、不利益変更には合理的な理由と労使合意が求められます。