処遇改善加算では、賃金水準を下げないことが大原則ですが、事業継続のためやむを得ず引き下げる場面もあります。
この記事では、特別事情届出書と、不利益変更・労使合意について解説します。
大原則|賃金水準は「下げない」のが基本
処遇改善加算では、対象とした賃金項目を含め、賃金水準(賃金の高さの水準)を低下させてはならないのが原則です。加算による賃金改善は、既存の賃金に「上乗せ」するものだからです。
例外|事業継続のためやむを得ず下げる場合
サービス利用者数の大幅な減少等によって経営が悪化し、事業の継続が著しく困難な場合には、賃金水準を引き下げた上で賃金改善を行うことがあり得ます。この場合は、「特別事情届出書(別紙様式5)」の提出が必要です。
特別事情届出書に書く4つの事項(通知5(2))
①経営悪化の状況(収支が赤字である、資金繰りに支障が生じる等を示す内容)
②福祉・介護職員等の賃金水準の引下げの内容
③法人の経営・賃金水準の改善の見込み
④引下げについて適切に労使合意を得ている等の手続き(労使合意の時期・方法)
なお、年度を超えて引き下げる場合は、翌年度の申請時に特別事情届出書を再提出する必要があります。
「全体水準」で判断する
特別事情届出書が必要となるのは、「賃金全体の水準」が引き下げられた場合です。
基本給を上げて賞与を下げた等、個々の賃金項目が低下しても、賃金全体の水準が下がっていなければ、届出は不要です。また、一部の職員の賃金を下げても、事業所全体の水準が下がらなければ、届出は不要です(ただし、後述の労使合意は別途必要です)。
不利益変更と労使合意
賃金水準の引下げや、一部職員の賃金引下げは、「不利益変更」に該当します。就業規則の不利益変更に当たる場合は、合理的な理由に基づき、適切に労使の合意を得る必要があります。
なお、賞与等において業績に連動して支払額が変動する部分が、業績に応じて変動すること自体は妨げられません。ただし、処遇改善加算に係る賃金改善は、こうした変動と明確に区分されている必要があります(例:賃金台帳上で手当等の支給名目を分ける等)。
改善したら「速やかに戻す」
賃金水準を引き下げた要因である特別な状況が改善した場合は、可能な限り速やかに、福祉・介護職員等の賃金水準を引下げ前の水準に戻す必要があります。あくまでも、一時的な措置、ということです。
むすび
処遇改善加算は、賃金水準を下げないことが大原則であり、やむを得ず下げる場合は特別事情届出書の提出が必要です。判断は「賃金全体の水準」が下がったかどうかで行い、不利益変更には合理的な理由と労使合意が求められます。
