高齢者医療確保法|後期高齢者医療の窓口負担を解説(1割・2割・3割の判定基準・課税所得28万円・145万円)

高齢者医療確保法|後期高齢者医療の窓口負担 労働社会保険諸法令の基礎知識
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75歳以上の人が病院で支払う窓口負担は、原則1割です。ただし、所得によっては2割や3割になります。判定は本人だけでなく世帯の所得で行い、毎年8月に見直されます。1割・2割・3割がどう決まるのかを整理します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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窓口負担の割合(第67条第1項)

後期高齢者医療の被保険者が病院などで療養の給付を受けたときは、かかった費用のうち一定の割合を一部負担金として窓口で支払います。割合は、高齢者医療確保法第67条第1項で3段階に分かれています。

号対象割合
第1号原則1割
第2号一定以上の所得がある人2割
第3号現役並みの所得がある人3割

どれだけの所得があれば2割・3割になるのかは、政令(高齢者医療確保法施行令第7条)で定められています。

1割・2割・3割の判定基準

3割になる人

同じ世帯の被保険者に、住民税の課税所得が145万円以上の人がいる場合は3割です。

2割になる人

次の2つをどちらも満たす場合は2割です。

  1. 同じ世帯の被保険者に、課税所得が28万円以上の人がいる
  2. 世帯の被保険者の「年金収入+その他の合計所得金額」が、単身で200万円以上、2人以上で合計320万円以上

2割になるかどうかの判定に、本人の申請は要りません。

1割になる人

3割にも2割にも当てはまらない人は1割です。住民税が非課税の世帯の人も1割です。

割合課税所得年金収入+その他の合計所得金額
3割145万円以上の人がいる(問わない)
2割28万円以上の人がいる単身200万円以上、2人以上で合計320万円以上
1割上のどちらにも当てはまらない(住民税非課税世帯を含む)―

3割でも1割・2割に下がる場合

課税所得が145万円以上あっても、収入がそれほど多くない人がいます。たとえば、年金のほかにまとまった収入はないものの、控除が少ないために課税所得が大きくなる人です。

そこで、被保険者の収入の額が次の基準を下回る場合は、3割ではなく1割または2割になります。

世帯の被保険者収入の基準
単身383万円未満
2人以上合計520万円未満

この手続を、基準収入額適用申請といいます。3割から外れたあとは、2割の基準に当てはまるかどうかで、1割か2割かが決まります。

2割の判定は申請不要ですが、こちらは申請が前提の手続です。ただし、市区町村が収入額を確認できる場合は、申請書の提出が不要なところもあります。

判定は世帯単位で、毎年8月に見直す

世帯の被保険者の所得で判定する

窓口負担の割合は、本人の所得だけでは決まりません。同じ世帯にいる後期高齢者医療の被保険者の所得もあわせて判定します。

たとえば、夫が75歳で課税所得が145万円以上、妻が75歳で年金収入だけの場合です。妻自身の所得が少なくても、同じ世帯の夫が3割の基準に当てはまるため、妻も3割になります(収入の基準で下がる場合を除きます)。

毎年8月1日に前年の所得で見直す

窓口負担の割合は、毎年8月1日に前年の所得をもとに見直されます。退職して収入が減った翌年の8月に、3割から1割・2割に下がることがあります。

配偶者が75歳になったときも変わる

世帯の被保険者が1人から2人になると、2割の基準が「単身200万円以上」から「2人以上で合計320万円以上」に変わります。本人の収入が同じでも、配偶者が75歳になって後期高齢者医療の被保険者になると、割合が変わることがあります。

2割負担の配慮措置は終わっている

2割負担は令和4年10月1日に始まりました。急に負担が増えないよう、令和4年10月1日から令和7年9月30日までの3年間は、外来の負担の増加を月3,000円までに抑える配慮措置がありました。

この配慮措置は令和7年9月30日で終わっています。現在、2割の人は、外来でも2割をそのまま負担しています。

70〜74歳の窓口負担との違い

70〜74歳の人の窓口負担(原則2割)も話題にのぼりますが、これは健康保険法や国民健康保険法で定められているものです。高齢者医療確保法が定めているのは、後期高齢者医療の被保険者、つまり主に75歳以上の人の窓口負担です。

窓口負担の見直しが報道されるときは、対象が70歳以上なのか75歳以上なのかによって、改正される法律が変わります。

まとめ

  • 75歳以上の窓口負担は原則1割で、所得によって2割・3割になります(第67条第1項)。
  • 3割は課税所得145万円以上、2割は課税所得28万円以上かつ年金収入+その他の合計所得金額が単身200万円以上・2人以上320万円以上が目安です。住民税非課税世帯は1割です。
  • 2割の判定に申請は要りません。3割の人は、収入が単身383万円未満・2人以上520万円未満なら、基準収入額適用申請で1割または2割になります。
  • 判定は世帯の被保険者の所得で行い、毎年8月1日に前年の所得で見直します。
  • 2割負担の配慮措置は令和7年9月30日で終わりました。

参考資料