高齢者医療確保法|後期高齢者医療の財源を解説(公費5割・後期高齢者支援金・後期高齢者負担率13.27%)

高齢者医療確保法|後期高齢者医療の財源を解説 労働社会保険諸法令の基礎知識
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75歳以上の医療費は、本人の保険料だけではまかなえません。国や自治体の公費と、現役世代が加入する医療保険からの支援金が大きな割合を占めています。それぞれの割合は高齢者医療確保法の条文で決まっています。令和8・9年度の数字を使って、財源の仕組みを整理します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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財源は3つ

後期高齢者医療の給付費は、次の3つでまかなわれます。

財源出すところ
公費国・都道府県・市町村
後期高齢者支援金健康保険や国民健康保険などの保険者(現役世代)
保険料後期高齢者医療の被保険者(75歳以上など)

ここでいう給付費は、病院などにかかった費用から窓口負担を除いた部分です。

公費は12分の6(5割)

公費の割合は、条文で次のように決まっています。対象になるのは、現役並み所得者(3割負担の人)以外の給付費です。

負担するところ割合条文
国(定率の負担)12分の3第93条第1項
国(調整交付金)12分の1第95条第2項
都道府県12分の1第96条第1項
市町村12分の1第98条
合計12分の6

合計すると12分の6、つまり5割です。国・都道府県・市町村の割合は4対1対1になります。

調整交付金は、広域連合ごとの財政力の違いをならすために国が交付するお金です(第95条第1項)。

保険料の割合は後期高齢者負担率

75歳以上の人の保険料でまかなう割合を、後期高齢者負担率といいます。後期高齢者負担率は、2年ごとに政令で定めます(第100条第2項)。

年度後期高齢者負担率
令和6・7年度12.67%
令和8・9年度13.27%

後期高齢者負担率は、被保険者の数や、現役世代が加入する医療保険の加入者の数の見込みを反映して決まります。今回は12.67%から13.27%に上がりました。

残りは現役世代の支援金

公費と保険料で足りない部分は、後期高齢者交付金でまかないます(第100条第1項)。後期高齢者交付金の財源は、健康保険や国民健康保険などの保険者が納める後期高齢者支援金です(第100条第3項、第118条)。

令和8・9年度の割合を当てはめると、現役並み所得者以外の給付費の内訳は次のとおりです。

財源割合
公費50%
後期高齢者支援金36.73%
保険料13.27%

支援金の36.73%は、第100条第1項の算式に後期高齢者負担率13.27%を当てはめて計算した値です。

現役並み所得者の給付費には公費が入らない

第93条第1項は、国が負担する対象から、3割負担の人の給付費(特定費用の額)を除いています。都道府県と市町村の負担も同じ「負担対象総額」を基準にしているため、3割負担の人の給付費には公費が入りません。

この部分は、支援金と保険料だけでまかないます。

財源割合
公費0%
後期高齢者支援金86.73%
保険料13.27%

つまり、3割負担の人が増えると、そのぶん現役世代の支援金が増える仕組みになっています。窓口負担を3割にする人を広げる議論で、現役世代の負担がかえって重くなるおそれが指摘されるのは、このためです。

支援金を集めて配る組織が変わった

後期高齢者支援金を保険者から集め、広域連合に後期高齢者交付金として配る役割は、これまで社会保険診療報酬支払基金が担っていました。

社会保険診療報酬支払基金は、令和8年10月1日に「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」(略称:DX審査支払機構)に改組されました。高齢者医療確保法の条文でも、現在は「機構」と書かれています。古い解説で「支払基金」とあるところは、「機構」と読み替えてください。

会社の健康保険料との関係

後期高齢者支援金を納めるのは、健康保険組合や全国健康保険協会などの保険者です。その財源は、加入者と事業主が負担する保険料です。

会社員が給与から天引きされている健康保険料にも、75歳以上の医療費を支える支援金の分が含まれています。在職中の従業員の保険料も、後期高齢者医療の財源の一部になっているわけです。

まとめ

  • 後期高齢者医療の財源は、公費・後期高齢者支援金・保険料の3つです。
  • 公費は12分の6(5割)で、国・都道府県・市町村が4対1対1で負担します。
  • 保険料の割合(後期高齢者負担率)は、令和8・9年度は13.27%です。
  • 残りは現役世代の支援金で、令和8・9年度は36.73%にあたります。
  • 3割負担の人の給付費には公費が入らず、支援金が86.73%を占めます。
  • 支援金を集めて配る組織は、令和8年10月1日に医療情報基盤・診療報酬審査支払機構に改組されました。

参考資料