高齢者医療確保法|後期高齢者医療の保険料を解説(均等割・所得割・賦課限度額85万円・年金天引き)

高齢者医療確保法|後期高齢者医療の保険料を解説(均等割・所得割・賦課限度額85万円・年金天引き) 労働社会保険諸法令の基礎知識
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75歳になると、一人ひとりが後期高齢者医療の被保険者として保険料を納めます。会社員の家族として保険料を払わずに済んでいた人も、ここからは自分の保険料がかかります。保険料がどう決まり、どう集められるのかを条文に沿って整理します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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保険料を決めるのは広域連合、集めるのは市町村(第104条)

保険料の決め方は、第104条に定められています。

第1項市町村は、後期高齢者医療に要する費用に充てるため、保険料を徴収しなければならない
第2項保険料は、広域連合の条例で定める保険料率で算定した保険料額によって課する
第3項保険料率は、おおむね2年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない

保険料率を決めるのは広域連合です。広域連合ごとに条例で定めるため、都道府県によって保険料率が違います。そして、決まった保険料を実際に集めるのは市町村です。

保険料率は2年ごとに見直されます。令和8年度と令和9年度は、新しい保険料率が適用される期間です。

保険料の組み立て(施行令第18条)

令和8年度から、保険料は2つの部分でできています。

  • 基礎賦課額(医療分)
  • 子ども・子育て支援納付金賦課額(子ども・子育て支援金分)

子ども・子育て支援金分は、令和8年度に始まった子ども・子育て支援金制度によるものです。医療保険料とあわせて納める仕組みで、後期高齢者医療も対象になっています。

どちらの部分も、「被保険者均等割額」と「所得割額」の合計です。

内容
被保険者均等割額被保険者一人ひとりに同じ額がかかる
所得割額基礎控除後の総所得金額等に所得割率をかけて計算する

たとえば、新潟県の令和8年度の保険料率は次のとおりです。

均等割額(年額)所得割率
医療分49,200円8.61%
子ども・子育て支援金分1,354円0.26%

年間の上限(賦課限度額)

保険料には、年間の上限があります。所得がどれだけ多くても、この額を超えることはありません。

賦課限度額
医療分85万円
子ども・子育て支援金分2万1千円

保険料率は広域連合ごとに違いますが、賦課限度額は政令で定められているため全国共通です。

保険料の軽減

所得が低い世帯の均等割の軽減

世帯の所得に応じて、均等割額が7割・5割・2割のいずれかで軽減されます(施行令第18条第5項)。どの割合になるかは、世帯の所得で判定されます。

会社員の扶養に入っていた人の軽減

75歳になる前日まで、会社の健康保険や共済組合の被扶養者だった人は、保険料が軽くなります。

  • 所得割はかかりません。
  • 均等割は、加入から2年を経過する月まで5割軽減されます。

たとえば、夫の会社の健康保険に扶養されていた妻が75歳になった場合です。妻は後期高齢者医療に移り、それまでかからなかった保険料が発生します。最初の2年間は均等割が半分になりますが、ゼロではありません。

保険料の納め方(第107条・第110条)

保険料の納め方には、特別徴収と普通徴収の2つがあります。

特別徴収(年金からの天引き)

次の2つの条件をどちらも満たす人は、年金から天引きされます。

  • 介護保険料が天引きされている年金が年額18万円以上
  • 介護保険料と後期高齢者医療の保険料を合わせた額が、その年金の額の2分の1を超えない

年金からの天引きの手続は、介護保険法の特別徴収の規定を準用して行われます(第110条)。

普通徴収(納付書・口座振替)

特別徴収の条件に当てはまらない人は、納付書や口座振替で納めます。

特別徴収の人も、申出をすれば口座振替に変えられます。

家族にも納める義務がある(第108条)

普通徴収のとき、保険料を納める義務を負うのは被保険者本人だけではありません。

項連帯して納付する義務を負う人
第2項世帯主(その世帯に属する被保険者の保険料)
第3項配偶者の一方(被保険者である他方の保険料)

年金が少なく普通徴収になっている親の保険料が未納になると、同じ世帯の世帯主や配偶者に納付を求められることがあります。

まとめ

  • 保険料率は広域連合が条例で定め、保険料は市町村が徴収します(第104条)。
  • 令和8年度から、保険料は医療分と子ども・子育て支援金分の2本立てです。どちらも均等割額と所得割額の合計です。
  • 賦課限度額は、医療分85万円、子ども・子育て支援金分2万1千円で全国共通です。
  • 被扶養者だった人は、所得割がかからず、均等割も加入から2年間は5割軽減されます。
  • 普通徴収では、世帯主と配偶者も連帯して納付する義務を負います(第108条)。

保険料率は都道府県によって違います。都道府県ごとの保険料率の比較は、別の記事で紹介します。

参考資料