福祉・介護職員等処遇改善加算は、障害福祉・介護の現場で働く職員の賃金改善を支える重要な制度です。令和8年度には大きな改定が行われました。この記事では、制度の沿革と令和8年度改定の全体像を解説します。
福祉・介護職員等処遇改善加算とは
福祉・介護職員等処遇改善加算とは、障害福祉・介護の現場で働く職員の賃金改善を目的に、事業者が受け取る報酬に「上乗せ」される加算です。ここで最初に押さえていただきたいのは、受け取った加算額は、職員の賃金改善に充てる義務がある、という点です。事業者の利益になるお金ではなく、職員の賃金に回すためのお金だということです。
制度の沿革(一本化までの歩み)
制度の出発点は平成24年度です。この年に福祉・介護職員処遇改善加算が創設されました。その後、令和元年10月に福祉・介護職員等特定処遇改善加算が、令和4年10月に福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算が、それぞれ創設され、処遇改善のための加算が3つ並立する時期がありました。
そして令和6年6月に、この3つの加算が一本化され、現在の福祉・介護職員等処遇改善加算が創設されました。3つがまとまって1つになった、これが現在の制度の直接の出発点です。
令和8年度改定|3つの大きな柱
令和8年度改定は、令和9年度報酬改定を待たず「期中改定」として実施されました。柱は次の3つです。
一つ目は「対象の拡大」です。これまで重視されていた福祉・介護職員から、「障害福祉従事者」へと対象が拡大されました。
二つ目は「上乗せの加算区分の新設」です。生産性向上・協働化に取り組む事業者に対して、上乗せの区分が新設されました。これが後述するⅠロ・Ⅱロです。
三つ目は「新たに対象となるサービス」です。これまで対象外だった計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援に、新しく加算が設けられました。
賃上げの規模(イメージ)
賃上げの規模もイメージとして押さえておきましょう。基本となるのが月1.0万円、率にして3.3%の賃上げです。これに生産性向上・協働化の上乗せが月0.3万円、1.0%。さらに定期昇給0.6万円を含めると、最大で月1.9万円、6.3%の賃上げが実現する設計です。
加算の区分(6区分)
令和8年6月以降の加算区分は、Ⅰイ・Ⅰロ、Ⅱイ・Ⅱロ、Ⅲ、Ⅳの6区分です。このうち「ロ」は、生産性向上・協働化の取組(令和8年度特例要件)を満たす場合の上乗せ区分です。
むすび
令和8年度の処遇改善加算は、「対象拡大+上乗せ区分の新設+相談支援への新設」という大きな改定が行われました。まずは制度の全体像と区分の枠組みを押さえることが、適切な取得・運用の出発点となります。
