労働安全衛生法|特別則の適用除外と第3管理区分事業場の措置強化を解説

労働安全衛生法|特別則の適用除外と第3管理区分事業場の措置強化を解説 労働社会保険諸法令の基礎知識
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新たな化学物質規制シリーズの締めくくりとして、個別規制(特別則)と自律的管理が交差する2つの仕組み、すなわち「管理水準良好事業場の特別則適用除外」と「第3管理区分事業場の措置強化」について解説します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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個別規制と自律的管理が「交差」する2つの制度

本シリーズの締めくくりとして、特別則(個別規制)と自律的管理が交わる2つの仕組みを押さえます。

一つは管理水準が良好なら特別則を外せる「適用除外」、もう一つは管理が悪い(第3管理区分)なら措置を強める「措置強化」です。

①管理水準良好事業場の特別則適用除外

所轄都道府県労働局長が認定した事業場は、特化則・有機則・鉛則・粉じん則の個別規制を適用除外とし、自律的管理(リスクアセスメント中心)に委ねることができます。

認定の主な要件は、過去3年間において次のすべてを満たすことです。

  • 専属の化学物質管理専門家を配置していること
  • 死亡または休業4日以上の労働災害が発生していないこと
  • 作業環境測定の結果が全て第1管理区分であったこと
  • 特殊健康診断で新たな異常所見が認められなかったこと

ただし、健康診断・保護具に係る規定は適用除外されません(運用通達:令和5年1月30日基安発0130第1号)。

②第3管理区分事業場の措置強化(2024年4月〜)

作業環境測定で第3管理区分(最も悪い区分)と評価された場合の強化策です。

STEP1:外部の作業環境管理専門家(当該事業場に属さない者)の意見を聴きます。改善が可能なら措置を講じ、再測定で評価します。

STEP2:改善が困難な場合、または改善後もなお第3管理区分の場合は、次の措置を講じます。

  • 個人サンプリング測定等で呼吸用保護具を選定・使用させる
  • フィットテスト(JIS T 8150:2021)で装着を確認する
  • 保護具着用管理責任者を選任する
  • 労働者へ周知し、第三管理区分措置状況届を労働基準監督署へ提出する

STEP3:評価結果が改善するまでの間は、6月以内ごとに個人サンプリング測定等を行い、1年以内ごとにフィットテストを実施します。記録は3年間保存します(粉じんは7年間)。

2つの制度が示すもの

管理が良ければ規制を緩め(適用除外)、悪ければ規制を強める(措置強化)。

これは、自律的管理が事業者の管理水準を反映する仕組みであることを示しています。

むすび

具体的な個別規制(電離則・有機則・特化則)から、抽象的な自律的管理へと学びを進めてきました。

個別規制と自律的管理は対立するものではなく、「接続」しています。

管理水準が良好なら特別則の適用除外を受けられ、第3管理区分なら措置が強化される。

事業者の管理水準が、適用される規制の重さを決める時代に入ったといえます。