こども性暴力防止法|現職者への事前伝達と説明会の進め方を解説(書面で伝える4つの事項)

こども性暴力防止法|現職者への事前伝達と説明会の進め方 労働社会保険諸法令の基礎知識
この記事は約3分で読めます。

こども性暴力防止法が施行されると、いま働いている従事者も、犯罪事実確認を受けることになります。施行後に突然「戸籍を出してください」と伝えれば、不安や反発を招きかねません。現職者に何を、どのように伝えておくべきか。こども家庭庁の資料をもとに、説明会の進め方とあわせて整理しました。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
-----------------
博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
-----------------
医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
-----------------
オンライン相談(Zoom)で全国対応
まずは無料相談(30分)から
【無料相談お申し込み】

\【就業規則ラボ】就業規則の知識を毎日お届け!フォローすると労務リスクに強くなります/

なぜ施行前に伝えるのか

犯罪事実確認の結果によっては、従事者をこどもと接する業務から外すなどの防止措置をとることになります。こうした措置を適法に行うには、あらかじめ本人に伝えておくことが前提になります。

施行後になって、いきなり「戸籍を提出してください」「結果によっては配置転換もあります」と言われれば、従事者は戸惑います。トラブルを防ぐためにも、施行前のうちに伝えておく必要があります。こども家庭庁の準備ガイドも、「制度についての従事者等への周知」を、施行までに最低限対応すべき事項の一つに挙げています。

現職者に伝えるべき事項

ガイドラインは、事業者が現職者にあらかじめ伝えておくべき事項として、次のものを挙げています。

伝えるべき事項
①施行時等に、犯罪事実確認の対象となること
②本人から国(こども家庭庁)に、戸籍等の提出を行う必要があること
③特定性犯罪事実該当者であると確認された場合や、戸籍等の提出がなく法定の期限までに犯罪事実確認書が交付されない場合は、対象業務に従事させることができないこと
④関連する服務規律の内容(懲戒事由など、就業規則の内容)

伝える方法は「書面等で確認・伝達等すること」とされています。口頭で説明するだけでなく、書面でも渡しておいてください。

ここでいう現職者には、いま対象業務に就いている人だけでなく、配置転換によって対象業務に就く可能性がある人も含まれます。

説明会の進め方(例)

書面を配るだけでは、制度への不安はなかなか消えません。説明会を開き、直接説明する場を設けると理解が進みます。説明の流れは、たとえば次のようになります。

  1. 法律の目的:こどもを性暴力から守るための制度であること
  2. 自分が対象になるか:対象業務従事者の範囲
  3. 手続の流れ:本人のアカウント登録と、戸籍情報の登録
  4. 結果の扱い:事業者に届くのは「特定性犯罪事実該当者かどうか」の結果のみで、情報は厳格に管理されること
  5. 就業規則の改定点
  6. 研修の受講:施行時に働いている人は、原則として施行前に受講すること
  7. 質問への回答

説明会のあとは、伝えた内容を書面で渡し、受け取ったことの記録を残しておきます。後になって「聞いていない」と言われたときに、伝えたことを示せるようにするためです。

伝え方のポイント

  • 「誰かを疑っているから確認する」のではなく、対象業務に就く人は皆、確認を受ける制度だと伝える
  • 実際に申請する時期は、事業者から別途案内することを伝えておく
  • 説明会の場では聞きにくい不安や質問のために、個別に相談できる窓口を用意する

とくに4つめの「結果の扱い」は、従事者がいちばん気にする点です。本人の戸籍の情報が事業者に渡るわけではないこと、結果は限られた担当者だけが扱うことを、具体的に伝えておくと安心につながります。

まとめ

  • 現職者への伝達は、防止措置を適法に行う前提であり、施行前に済ませておく
  • 伝えるべき事項は、確認の対象となること・戸籍等の提出・従事させられない場合・関連する服務規律の4つ
  • 伝える方法は「書面等」。説明会で話したうえで、書面を渡して受領の記録を残す
  • 配置転換で対象業務に就く可能性がある人も、伝える対象に含まれる
  • 「疑っているからではない制度」であることと、結果の扱いを丁寧に説明する

説明会は、制度への不安を減らし、確認の手続を円滑に進めるための場です。施行前の今のうちに準備しておいてください。

参考資料