こども性暴力防止法|施行ガイドライン改訂(令和8年9月)のポイントを解説(研修受講時期・公表項目)

こども性暴力防止法|施行ガイドライン改訂(令和8年9月)のポイント 労働社会保険諸法令の基礎知識
この記事は約4分で読めます。

令和8年9月、こども家庭庁が「こども性暴力防止法施行ガイドライン」を改訂しました。1月版のガイドラインをもとに準備を進めてきた事業者は、変わった部分を確認しておく必要があります。とくに研修の受講時期は、内定者を抱える事業者の研修計画に直接かかわります。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
-----------------
博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
-----------------
医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
-----------------
オンライン相談(Zoom)で全国対応
まずは無料相談(30分)から
【無料相談お申し込み】

\【就業規則ラボ】就業規則の知識を毎日お届け!フォローすると労務リスクに強くなります/

ガイドラインが改訂された

こども性暴力防止法施行ガイドラインは、令和8年1月に策定された、制度の詳しい内容を示す資料です。犯罪事実確認や安全確保措置などの具体的な進め方が、このガイドラインにまとめられています。

このガイドラインが令和8年9月に改訂され、令和8年9月2日付のこども家庭庁支援局長通知で周知が依頼されました。通知は、改訂の理由を「一部追記等すべき点がでてきたこと等」としています。

改訂の4項目

こども家庭庁の資料「こども性暴力防止法施行ガイドラインの改訂について」は、改訂内容を次の4項目に整理しています。

項目内容改訂ページ
①研修受講時期の考え方の明確化P124
②認定における事業者情報の公表項目の整理P96
③監督等指針(案)の検討を踏まえた改訂P305〜312、P320〜323
④横断指針の改訂に伴う引用ページずれの修正P127〜160

④はページ番号の修正なので、中身は変わっていません。実務への影響がいちばん大きいのは①です。

①研修の受講時期(義務対象事業者)

研修は、原則として、こどもと接する業務に従事する前に受講させなければなりません。この原則は改訂前と同じです。

今回明確になったのは、施行の前に内定していた人をいつまでに受講させればよいか、という点です。

対象者受講の時期
施行時に現に従事している者(施行時現職者)原則として施行前に受講
施行前に内定・従事が決まっていて、施行後に従事する者改訂前:施行日までに受講
改訂後:業務に従事させるまでに受講すればよい
施行後に内定した者業務に従事させるまでに受講

認定対象事業者についても、同じ考え方が示されています。認定の申請前に内定した人を含め、申請後に従事させる人は、業務に従事させるまでに受講すればよいとされました。

実務への影響

たとえば、令和9年1月に入職する内定者がいるとします。改訂前の考え方では、この人も施行日(令和8年12月25日)までに受講させる必要がありました。改訂後は、12月中の受講が必須ではなくなります。

ただし、入職日(こどもと接する業務に就く日)までには受講を終えていなければなりません。受講が済んでいない人を、こどもと接する業務に就かせることはできないのです。

研修の計画は、次の2つに分けて立てると管理しやすくなります。

  • いま働いている従事者:施行前(12月24日まで)に受講
  • 内定者:それぞれの入職日までに受講

②公表項目の整理(認定事業者)

認定を受けた事業者の情報は、こども家庭庁が公表します。今回の改訂では、安全確保やプライバシー保護の観点から、一部の事業について公表の範囲を絞る扱いが追記されました。

  • 次の5事業は、事業者や事業所の所在地を都道府県までとし、郡市区町村以下は記載しない
    • 児童自立生活援助事業、子育て短期支援事業、小規模住居型児童養育事業、妊産婦等生活援助事業、児童育成支援拠点事業
  • このうち小規模住居型児童養育事業と子育て短期支援事業は、事業者名・代表者名・事業所名も「―」と表記する
  • 民間教育事業(フリースクール、こども食堂、芸能指導)は、利用者の安全を著しく脅かすなどの場合、相談のうえで郡市区町村以下を記載しないことができる

これらは、こどもが暮らす場所や預けられる場所が特定されないようにするための配慮です。

③監督等の観点・定期報告事項

こども家庭庁と所轄庁が事業者を監督するときの観点と、事業者が行う定期報告の事項についても改訂されました。監督等指針(案)の検討を踏まえ、法令に沿って適正化・具体化したものとされています。

具体的にどの観点・事項が変わったかは、ガイドラインのP305〜312、P320〜323で確認してください。

まとめ

  • 施行ガイドラインは令和8年9月に改訂され、改訂内容は4項目に整理されている
  • 実務への影響が大きいのは、研修受講時期の明確化
  • 施行時現職者は原則として施行前に受講。施行前に内定した人は、業務に従事させるまでに受講すればよくなった
  • 認定事業者の公表項目は、安全とプライバシーに配慮して一部の事業で絞られた
  • 監督等の観点と定期報告事項も、法令に沿って適正化・具体化された

1月版のガイドラインで準備を進めてきた事業者は、9月改訂版との違いを確認してください。とくに研修計画は、現職者と内定者を分けて組み直すと進めやすくなります。

参考資料