後期高齢者医療では、病院での治療費のほか、入院時の食事代や高額療養費、葬祭費などが給付されます。ただし、すべての給付が法律で決まっているわけではありません。広域連合の条例しだいの給付もあり、その違いは条文の語尾を見るとわかります。
給付の種類(第56条)
後期高齢者医療の給付は、第56条で次のように定められています。
被保険者に係るこの法律による給付(以下「後期高齢者医療給付」という。)は、次のとおりとする。
一 療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費及び移送費の支給
二 高額療養費及び高額介護合算療養費の支給
三 前二号に掲げるもののほか、後期高齢者医療広域連合の条例で定めるところにより行う給付
第1号と第2号に並んでいる給付は、法律で決まっています。広域連合が「行わない」と決めることはできません。
第3号は、広域連合の条例で定める給付です。どんな給付を行うかは、広域連合ごとに条例で決まります。
葬祭費(第86条第1項)
被保険者が亡くなったときの給付は、第86条第1項に定められています。
後期高齢者医療広域連合は、被保険者の死亡に関しては、条例の定めるところにより、葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。
「行うものとする」とあるので、原則として行う給付です。ただし書により、特別の理由があるときは行わないこともできます。
額は条例で決まるため、広域連合ごとに違います。たとえば、東京都の広域連合では7万円です。
傷病手当金など(第86条第2項)
第86条第2項は、さらに別の給付について定めています。
後期高齢者医療広域連合は、前項の給付のほか、後期高齢者医療広域連合の条例の定めるところにより、傷病手当金の支給その他の後期高齢者医療給付を行うことができる。
こちらは「行うことができる」です。行うかどうかも、どんな内容にするかも、広域連合が決めます。
語尾で3つに分類する
条文の語尾に注目すると、後期高齢者医療の給付は3つに分けられます。
| 分類 | 条文の書き方 | 給付 |
|---|---|---|
| 法律で必ず行う | 第56条第1号・第2号に列挙 | 療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費、高額介護合算療養費 |
| 原則として行う | 行うものとする(ただし書あり) | 葬祭費(葬祭の給付) |
| 行うことができる | 行うことができる | 傷病手当金など |
健康保険との違い
出産に関する給付がない
第56条にも第86条にも、出産に関する給付は出てきません。
傷病手当金があるとは限らない
傷病手当金は、広域連合が条例で定めた場合にだけ支給されます。条例で定めていなければ支給されません。
在職中に75歳になった従業員は、健康保険の資格を失うため、健康保険の傷病手当金は受けられなくなります。病気で仕事を休んでも、健康保険と同じような所得の保障があるとは限らない点に注意してください。
国民健康保険との違い
国民健康保険では、出産育児一時金と葬祭費の2つが「行うものとする」給付でした(国民健康保険法第58条第1項)。
後期高齢者医療で「行うものとする」とされているのは、葬祭費だけです。傷病手当金を「行うことができる」としている点は、国民健康保険と同じです。
| 給付 | 国民健康保険 | 後期高齢者医療 |
|---|---|---|
| 出産育児一時金 | 行うものとする | 規定なし |
| 葬祭費 | 行うものとする | 行うものとする |
| 傷病手当金 | 行うことができる | 行うことができる |
まとめ
- 後期高齢者医療の給付は、第56条に定められています。
- 療養の給付や高額療養費など10の給付は、法律で必ず行う給付です。
- 葬祭費は「行うものとする」給付で、額は広域連合の条例で決まります(第86条第1項)。
- 傷病手当金は「行うことができる」給付で、条例で定めていなければ支給されません(第86条第2項)。
- 出産に関する給付はありません。
