こども性暴力防止法|実習生・ボランティア・派遣・委託の扱いを解説(派遣先が確認・委託先の記録は共有不可)

こども性暴力防止法|実習生・ボランティア・派遣・委託の扱い 労働社会保険諸法令の基礎知識
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こども性暴力防止法の犯罪事実確認は、自分の事業所で雇っている職員だけが対象ではありません。実習生、ボランティア、派遣労働者、委託先の指導者など、雇用関係のない人も対象になり得ます。誰が、どの事業者の責任で確認するのか。こども家庭庁の資料とQ&Aをもとに整理しました。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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雇用関係がなくても対象になり得る

こども家庭庁の説明資料は、対象となる従事者について「雇用形態の違い、雇用契約の有無などにかかわらず、短期間の労働者、ボランティアなども対象になります」としています。

ここでも判断の基準は、支配性・継続性・閉鎖性の3要件です。

  • 支配性:指導などを通じて、こどもに対して強い立場に立つ
  • 継続性:業務の中で繰り返しこどもと接する
  • 閉鎖性:保護者などの目が届かない

給料を払っているかどうか、自分の会社の社員かどうかは関係ありません。こどもと接する業務の実態で判断します。

実習生(教育実習・保育実習など)

実習生の扱いは、実習の中身によって分かれます。

実習の中身犯罪事実確認
実習計画で、こどもと一対一にさせないことが定められ、指導教員の監督の下で接することが担保されている求められない
こどもと一対一になることが予定されている、実習期間が相当長期にわたる等3要件を満たす実習として、確認の対象

確認が必要かどうかを最終的に判断し、犯罪事実確認書の交付申請等を行うのは、実習を受け入れる施設(実習施設)の事業者です。実習生を送り出す大学等ではありません。

確認が必要な場合は、実習生本人がこども家庭庁へ戸籍等を提出します。こども家庭庁と文部科学省は、大学等に向けて「令和8年度以降に入学する学生への対応等に関する留意事項について」を通知し、学生への周知用資料のひな型も示しています。

ボランティア

ボランティア活動などで、対象事業者においてこどもと接する業務に就く場合、事業者がその人を犯罪事実確認の対象と判断し、確認を求める可能性があります。

無償の活動かどうかは関係ありません。3要件に照らして確認が必要になり得ます。

派遣労働者

対象業務に従事する派遣労働者については、派遣先が犯罪事実確認を行う必要があります。派遣元(派遣会社)ではありません。

派遣労働者を受け入れている事業所は、自分たちが確認の主体になる前提で準備を進めてください。

業務委託

業務委託は、その仕事が「自施設の事業として行われているかどうか」で扱いが分かれます。Q&Aでは、次のような場面が取り上げられています。

自施設の事業を外部に委託している場合

学校や保育所の事業として行う指導(たとえば水泳指導の一部)を外部に委託している場合、指導者が委託先の人であっても、学校設置者等が犯罪事実確認を行う必要があります。学校設置者等とは、学校・保育所・放課後等デイサービスなどの義務対象事業者の法律上の呼び名です。

委託先がすでに確認を済ませている場合

受託者が認定事業者で、その従事者についてすでに犯罪事実確認を済ませている場合も、学校設置者等が改めて確認しなければなりません。

理由は、犯罪事実確認記録等がきわめて機微な情報で、法律で定められている場合を除き、事業者の間で共有することが認められていないからです。委託先から「うちで確認済みです」と伝えられても、その結果を受け取って済ませることはできません。

場所を貸しているだけの別の事業の場合

学校や保育所の施設を使っていても、場所を貸しているだけで、学校や保育所の事業とは全く別の事業としてこどもへのサービス(英会話教室、体操教室など)が提供される場合があります。この場合、その事業が認定を受けているときは、サービスを実施する事業者が犯罪事実確認を行います。

スクールバスを運航委託している場合

私立中学・高校のスクールバスを保護者組織に運航委託している事例について、Q&Aは、スクールバス事業が学校事業の一環として行われているものであれば、運転手の犯罪事実確認は学校法人が行うとしています。

実務の進め方

雇用関係のない人の確認は、関係する相手先との調整が必要になるため、早めに手をつけておく必要があります。

  1. 受け入れている「雇用関係のない人」を洗い出す(実習生・ボランティア・派遣労働者・委託先の従事者)
  2. その業務が自施設の事業か、場所貸しなどの別事業かを整理し、3要件で判断する
  3. 実習生を送り出す大学等・派遣元・委託先と、確認の手順を事前にすり合わせる

委託先との契約では、委託先の従事者が自施設の犯罪事実確認に応じる段取りを、施行前に決めておくと混乱を防げると思われます。

まとめ

  • 雇用関係の有無にかかわらず、3要件を満たせば犯罪事実確認の対象になり得る
  • 実習生は実習の中身で判断が分かれ、確認の要否を判断・申請するのは実習施設
  • 派遣労働者は、派遣元ではなく派遣先が確認する
  • 自施設の事業を委託している場合は、委託先の人でも自施設が確認する。委託先の確認結果は共有できない
  • 場所を貸しているだけの別事業なら、認定を受けた実施主体の事業者が確認する

「うちの職員ではない人」でも、自施設の事業でこどもと接するなら、確認するのは自施設です。受け入れの段取りは、施行前に決めておいてください。

参考資料