電離放射線障害防止規則①|管理区域と線量限度を解説(総論)

電離放射線障害防止規則①|管理区域と線量限度を解説(総論) 労働社会保険諸法令の基礎知識
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電離放射線障害防止規則(電離則)は、労働者を放射線による健康障害から守るための重要な省令です。医療機関や放射性医薬品の取扱現場では特に欠かせない知識となります。

この記事では、電離則の総論と、管理区域・線量限度について解説します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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電離則とは

電離則は、労働者を電離放射線による障害から守るための省令で、労働安全衛生法に基づく特別則の一つです。

対象となる放射線には、エックス線、ガンマ線、放射性物質、加速器等が含まれます。

放射線の人体影響(2分類)

放射線が人体に与える影響は、大きく2つに分類されます。

  • 確定的影響:しきい値があるもの(脱毛・白内障・皮膚障害等)
  • 確率的影響:しきい値がないもの(がん・遺伝的影響)

線量限度は、しきい値のない確率的影響を「許容可能なレベル」に抑えるという考え方に基づいて定められています。

管理区域の設定(第3条)

次のいずれかを超えるおそれのある区域を、管理区域として設定します。

  • 外部放射線:実効線量が3月間1.3mSv
  • 空気中放射性物質濃度:3月平均が基準値を超える
  • 表面汚染:基準の10分の1を超える

管理区域は標識により明示し、必要な者以外の立入りを禁止しなければなりません。

放射線業務従事者の線量限度(第4条・第5条)

放射線業務従事者の被ばく限度は、実効線量と等価線量に分けて定められています。

実効線量(全身)は、5年間で100mSv、かつ1年間で50mSvを超えないこととされています。

等価線量については、眼の水晶体は5年間100mSvかつ1年間50mSv(令和3年4月に年150mSvから大幅に引き下げられました)、皮膚は1年間500mSvが限度です。

女性・妊娠中の特別な限度(第4条・第6条)

女性および妊娠中の労働者には、特別な限度が定められています。

  • 女性(妊娠する可能性がないと診断された者等を除く):3月間5mSv
  • 妊娠中:内部被ばくによる実効線量1mSv、腹部表面の等価線量2mSv

むすび

電離則は、放射線業務従事者を確率的影響・確定的影響の双方から守るため、管理区域の設定と線量限度を定めています。

実効線量は5年100mSvかつ年50mSv、眼の水晶体は令和3年4月に大幅引下げが行われた点が重要です。

医療・RI取扱現場では、外部被ばくだけでなく内部被ばくや女性・妊娠中の管理が実務の要となります。