有機溶剤中毒予防規則①|対象・区分・作業主任者と発散抑制措置を解説

有機溶剤中毒予防規則①|対象・区分・作業主任者と発散抑制措置を解説 労働社会保険諸法令の基礎知識
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有機溶剤中毒予防規則(有機則)は、有機溶剤による中毒から労働者を守るための省令です。

この記事では、有機則の対象・有機溶剤の3区分・発散抑制措置・作業主任者について解説します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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有機則とは

有機則は、有機溶剤による中毒(神経障害・肝障害等)から労働者を守るための省令で、労働安全衛生法に基づく特別則です。

対象は、有機溶剤を製造・取り扱う一定の業務(有機溶剤業務)です。

対象有機溶剤は3区分(毒性で分類)

対象となる有機溶剤は、毒性が高い順に第1種>第2種>第3種に区分されています(計44物質)。

  • 第1種有機溶剤等:毒性が高い(例:二硫化炭素等)
  • 第2種有機溶剤等:トルエン・キシレン・アセトン等
  • 第3種有機溶剤等:ガソリン・石油系溶剤等

区分の表示は、色分けで掲示します(第1種=赤/第2種=黄/第3種=青)。

「有機溶剤等」の意味

「有機溶剤等」とは、有機溶剤そのものに加え、有機溶剤を一定量(5%超)含有する混合物も含む概念です。

混合物であっても、規制対象になる点に注意が必要です。

発散抑制措置(第5条)

第1種・第2種有機溶剤等の屋内作業では、次のいずれかを設置します。

  • 有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備
  • 局所排気装置
  • プッシュプル型換気装置

第3種有機溶剤等については、タンク等の内部での業務で換気設備等が必要となります。

有機溶剤作業主任者の選任(第19条)

有機溶剤業務を行う作業場では、技能講習修了者から「有機溶剤作業主任者」を選任します。

職務は、作業方法の決定・労働者の指揮、換気装置の点検、保護具の使用状況の監視等です。

特別有機溶剤との関係(重要)

発がん性等が高い溶剤(クロロホルム等)は、「特別有機溶剤」として、有機則ではなく特定化学物質障害予防規則(特化則)で規制されます。

ただし、作業主任者については特例があります。

特別有機溶剤業務に係る作業では、「特定化学物質作業主任者」を選任しますが、その資格要件として、特定化学物質の技能講習ではなく「有機溶剤作業主任者技能講習」を修了した者から選任することとされています(特化則第27条)。

規制の枠組みは特化則でありながら、作業主任者の資格は有機溶剤側を用いるという点が、実務で混同しやすい注意点です。

むすび

有機則は、有機溶剤の「区分(毒性)」に応じて措置の重さが変わる仕組みで、発散抑制措置と作業主任者の選任が現場管理の二本柱となります。

発がん性の高い特別有機溶剤は特化則で規制される一方、作業主任者の資格は有機溶剤作業主任者技能講習が用いられる点に注意が必要です。