電離放射線障害防止規則(電離則)では、放射線障害を防止するため、作業を指揮する作業主任者の選任、作業環境測定、特殊健康診断、そして記録の長期保存が定められています。
この記事では、これらの作業管理・健康管理・記録保存について解説します。
作業主任者の選任(第46条〜)
一定の放射線作業では、作業主任者を選任しなければなりません。
エックス線作業主任者(免許)は、エックス線装置を使用する作業等で選任します。
ガンマ線透過写真撮影作業主任者(免許)は、ガンマ線照射装置を用いた透過写真撮影作業で選任します。
作業主任者は、作業方法の決定・労働者の指揮・装置の点検等を担います。
作業環境測定(第53条〜)
放射線業務を行う管理区域について、定期に測定を行います。
- 外部放射線による線量当量率(1月以内ごとに1回等)
- 空気中の放射性物質の濃度(1月以内ごとに1回)
これらの測定結果は記録し、5年間保存しなければなりません(第55条)。
特殊健康診断(第56条)
放射線業務に常時従事し、管理区域に立ち入る労働者に対して実施します。
実施時期は、雇入れ時・配置替え時、およびその後6月以内ごとに1回です。
主な検査項目は次のとおりです。
- 被ばく歴の有無の調査・評価
- 白血球数・白血球百分率
- 赤血球数・血色素量等
- 白内障に関する眼の検査
- 皮膚の検査
一定の要件のもとで、項目の省略が認められる場合があります。
記録の30年保存
放射線障害には、がんなど発症までに長期間を要する遅発性の影響があるため、次の記録は30年間保存が義務付けられています。
- 被ばく線量の記録(第9条)→30年保存
- 電離放射線健康診断個人票(第57条)→30年保存
放射線管理手帳(実務上の仕組み)
放射線管理手帳は、法令上の制度ではありませんが、被ばく線量を事業場をまたいで通算管理するため、業界で広く運用されています。
転職や複数事業場で働く従事者の線量を一元的に管理する役割を果たしています。
むすび
電離則は、「人(作業主任者)」「場(作業環境測定)」「健康(特殊健康診断)」「記録(30年保存)」という4本柱で放射線障害を防止しています。
被ばく線量と健康診断個人票は遅発性の健康影響に備えて30年保存が義務である一方、作業環境測定の記録は5年保存と、対象により保存期間が異なる点に注意が必要です。

