有機溶剤中毒予防規則②|作業環境測定・特殊健康診断・掲示を解説

有機溶剤中毒予防規則②|作業環境測定・特殊健康診断・掲示を解説 労働社会保険諸法令の基礎知識
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有機溶剤中毒予防規則(有機則)では、作業環境の測定と労働者の健康診断が義務付けられています。この記事では、作業環境測定・管理区分・有機溶剤等健康診断・掲示等について解説します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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作業環境測定(第28条)

第1種・第2種有機溶剤等を扱う屋内作業場について、作業環境測定を実施します。

  • 6ヶ月以内ごとに1回、定期に有機溶剤の濃度を測定
  • 作業環境測定士(または測定機関)が測定
  • 記録は3年間保存

なお、特別有機溶剤については、含有形態によって保存期間が分かれます。

特別有機溶剤を単一成分で1%を超えて取り扱う場合は、特別管理物質として特化則が適用され、作業環境測定記録は30年間保存となります。

一方、特別有機溶剤と有機溶剤の混合物で合計5%超(各単一成分は1%以下)の場合は、有機則が準用され3年間保存となります。詳細は特化則の回で解説します。

測定結果の評価と管理区分

測定結果は、作業環境評価基準に従い、第1〜第3管理区分に区分されます。

  • 第1管理区分:適切(現状維持)
  • 第2管理区分:なお改善の余地(要改善努力)
  • 第3管理区分:直ちに改善が必要

第3管理区分と評価された場合は、作業環境管理専門家の意見聴取・点検・改善措置に加え、改善が困難な場合には個人サンプリング測定等の実施や、有効な呼吸用保護具の使用(フィットテストの実施等)が求められます。

有機溶剤等健康診断(第29条)

有機溶剤業務に常時従事する労働者に実施します。

  • 雇入れ時/配置替え時/その後6ヶ月以内ごとに1回

主な項目は、業務歴・既往歴の調査、自覚・他覚症状の有無、尿中代謝物・肝機能・貧血・眼底等(溶剤に応じた検査)です。

健診結果の記録・報告(第30条・第30条の2)

  • 有機溶剤等健康診断個人票を作成し、5年間保存
  • 定期健診の結果は所轄労働基準監督署長に報告

掲示・表示(第24条・第25条)

掲示すべき事項は、有機溶剤が人体に及ぼす作用、取扱い上の注意事項、中毒時の応急処置、作業主任者の氏名・職務等です。

区分表示は、第1種=赤/第2種=黄/第3種=青で色表示します。

保護具・貯蔵・空容器

  • 局所排気装置等がない場合等は、送気マスク・有機ガス用防毒マスクを使用
  • 貯蔵は堅固な容器+換気のよい施錠できる場所
  • 空容器は密閉または屋外の一定場所に集積

むすび

有機則は、「測定(場)→評価(区分)→健診(人)→記録・報告」という流れで、現場の有機溶剤中毒を防止します。

作業環境測定記録は原則3年保存ですが、特別有機溶剤を単一成分で1%超取り扱う場合は特化則により30年保存となるなど、含有形態によって扱いが変わる点に注意が必要です。