こども性暴力防止法では、犯罪事実確認や防止措置を実施しますが、これらを円滑かつ適法に行うには就業規則の整備が欠かせません。
この記事では、就業規則に定めておくべき項目について解説します。
なぜ就業規則の整備が必要か
犯罪事実確認や防止措置を円滑かつ適法に行うには、その根拠を就業規則にあらかじめ定めておく必要があります。こども家庭庁は「就業規則参考例」を公開しており、これをベースに自社の実態に合わせて整備することができます。
こども性暴力防止法に基づく措置を行うに当たって活用できる各種ひな型・参考例 リンク集|こども家庭庁
①児童対象性暴力等・不適切な行為の禁止
就業規則・服務規律に、次の内容を定めます。
- 「児童対象性暴力等」「つながる不適切な行為」の範囲
- 教育・保育の場でこれらの行為を行ってはならないこと
- これらの行為や、それを理由として刑罰を科された場合は速やかに報告すること
②犯罪事実確認の手続に応じる義務
従事者に対し、犯罪事実確認の手続(戸籍情報の提出・システム上の手続等)に応じる義務を就業規則に明記します。
③試用期間中の解約事由の整備
試用期間中に、特定性犯罪前科の判明や経歴詐称等が明らかになった場合に本採用を見送れるよう、試用期間の解約(本採用拒否)事由を就業規則に定めておきます。
④配置転換に関する規定(特に現職者対応で重要)
防止措置として「こどもと接しない業務への配置転換」を命じ得るよう、配転条項を整備しておきます。
現職者は採用時に前科確認をしておらず、前科判明を理由とする解雇はハードルが高くなります(解雇権濫用法理)。そのため、解雇ではなく配置転換により防止措置(こどもに接する業務に就かせない)を実現する受け皿が必要です。
なお、特定性犯罪事実該当者を配転する場合、一般に「業務上の必要性」が認められると考えられます(ガイドラインP223)。
⑤懲戒事由の整備
児童対象性暴力等・不適切な行為や、経歴詐称等を、懲戒事由・普通解雇事由として就業規則に位置づけます。
ポイント
防止措置(配転・就業制限等)は労働条件に関わるため、「就業規則の根拠」と「従事者への周知」が不可欠です。
ひな型をベースにしつつ、自社の業務実態に合わせて整備することが重要です。
むすび
こども性暴力防止法への対応は、就業規則の整備から始まります。
禁止規定・犯罪事実確認に応じる義務・試用期間の解約事由・配置転換・懲戒事由という5つの観点を押さえ、特に現職者については解雇よりも配置転換を受け皿とする設計が実務上重要です。
就業規則の根拠と従事者への周知を整えることが、適法な防止措置の前提となります。

