パートタイム・有期雇用労働法第9条は、一定の要件を満たす短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いを絶対的に禁止する規定です。
均衡待遇(第8条)とは異なり、要件を満たす場合は通常の労働者と同一の待遇が保障されます。
この記事では、均等待遇の適用要件・効果・均衡待遇との違いについて解説します。
差別的取扱いの禁止(第9条)
事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容および配置が通常の労働者の職務の内容および配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはなりません。
均等待遇が適用される2つの要件
以下の①②の両方を満たす場合に限り適用されます。
①職務の内容が通常の労働者と同一
業務の内容と責任の程度が通常の労働者と同じであることが必要です。
②職務の内容および配置の変更の範囲が通常の労働者と同一
雇用関係が終了するまでの全期間において、転勤・人事異動・昇進等の範囲が通常の労働者と同じであることが必要です。
均等待遇の効果
①②が同一であれば、短時間・有期雇用労働者であることを理由とした差別的取扱いは一切禁止されます。通常の労働者と同一の待遇が保障されます。
均衡待遇(第8条)との比較
| 均等待遇(第9条) | 均衡待遇(第8条) | |
|---|---|---|
| 要件 | 2要素が同一 | 3要素を考慮 |
| 効果 | 差別禁止(絶対) | 不合理禁止(相対) |
| その他の事情 | 考慮しない | 考慮する |
| 対象 | 限定的 | 広範 |
実務上のポイント
均等待遇の適用を受ける短時間・有期雇用労働者は実態として限定的です。
多くのケースは均衡待遇(第8条)の問題として判断されます。
第9条の適用を受けるかどうかは「職務の内容」と「変更の範囲」の実態で判断されるため、形式的な役職名だけでは判断できない点に注意が必要です。
むすび
第9条の均等待遇は、職務の内容と配置の変更の範囲の2要素が通常の労働者と同一である場合に適用され、差別的取扱いを絶対的に禁止します。
均衡待遇(第8条)が相対的な判断であるのに対し、均等待遇(第9条)は要件を満たせば相違を一切認めない点が大きな違いです。
実務上は均等待遇の適用を受ける労働者は限定的であり、大多数のケースは均衡待遇の問題として扱われます。
