前回の基本編に続き、この記事では年次有給休暇の応用的な内容について解説します。比例付与、年5日の時季指定義務、計画的付与などを取り上げます。
比例付与
週所定労働日数4日以下かつ週所定労働時間30時間未満の労働者には、所定労働日数に応じて比例付与されます。
例:週3日勤務の場合
- 6か月:5日
- 1年6か月:6日
- 2年6か月:6日
- 3年6か月:8日
- 4年6か月:9日
- 5年6か月:10日(ここから年5日の時季指定義務が発生)
- 6年6か月以上:11日
| 週所定労働日数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
年5日の時季指定義務
年10日以上付与される労働者に対し、使用者は年5日について時季を指定して取得させなければなりません。
控除の考え方 労働者が自ら取得した日数や計画的付与の日数は、5日から控除可能です。
罰則 違反した場合は、対象労働者1人につき30万円以下の罰金が科されます。
計画的付与
労使協定により、年次有給休暇のうち5日を超える部分について計画的に付与できます。
5日は労働者が自由に取得できるよう残す必要があります。
計画的付与の方法
| 方法 | 具体例 |
|---|---|
| 一斉付与方式 | 全社一斉の夏季休暇、年末年始休暇 |
| 交替制付与方式 | グループ別に交替で付与 |
| 個人別付与方式 | 個人ごとに計画的に付与 |
時間単位年休
労使協定により、年5日を限度として時間単位での取得が可能です。
半日単位ではなく、時間単位で柔軟に取得できます。
時間単位年休
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 要件 | 労使協定(届出不要) |
| 上限 | 年5日を限度 |
| 対象者 | 労使協定で定める |
| 1日の時間数 | 所定労働時間を基準に労使協定で定める |
時間単位年休の労使協定で定める事項
| 事項 | 内容 |
|---|---|
| ①対象労働者の範囲 | 一部を除外することも可能 |
| ②時間単位年休の日数 | 年5日以内 |
| ③1日の時間数 | 所定労働時間を下回らない時間数 |
| ④1時間以外の単位 | 2時間単位等も可能 |
年次有給休暇の時効
年次有給休暇の時効は2年です。
付与日から2年間で消滅します。
年次有給休暇の時効・繰越
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時効 | 2年(労働基準法第115条) |
| 繰越 | 未取得分は翌年に繰り越し可能 |
| 最大保有日数 | 前年繰越20日+当年付与20日=最大40日 |
年次有給休暇管理簿
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作成義務 | あり(2019年4月から) |
| 記載事項 | 基準日、日数、取得した時季 |
| 保存期間 | 当該年休を与えた期間中+その後5年間(当分の間は3年間) |
むすび
年次有給休暇には、パートタイム労働者向けの比例付与制度があります。
年10日以上付与される労働者については、使用者に年5日の時季指定義務があり、違反すると罰則が科されます。
労使協定により、5日を超える部分について計画的付与や時間単位での取得も可能です。
年次有給休暇の時効は2年ですので、計画的な取得を促進することが重要です。
基本編と合わせて理解することで、年次有給休暇制度の全体像を把握できます。

