パートタイム・有期雇用労働法第8条は、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の不合理な待遇の相違を禁止する規定です。
いわゆる均衡待遇の根拠条文として、同一労働同一賃金の中核をなします。
この記事では、判断の3要素・「その他の事情」の内容・均等待遇との違いについて解説します。
不合理な待遇の禁止(第8条)
事業主は、短時間・有期雇用労働者の待遇のそれぞれについて、通常の労働者の待遇との間に不合理と認められる相違を設けてはなりません。
判断の3要素
不合理性は、以下の3要素のうち待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものを考慮して判断されます。
- 職務の内容(業務の内容+責任の程度)
- 職務の内容および配置の変更の範囲
- その他の事情
「待遇ごとに」判断する
不合理性は待遇の種類ごとに個別に判断されます。
たとえば基本給の相違が合理的であっても、手当の相違が不合理と判断される場合があります。
一括して判断されるものではない点が重要です。
「その他の事情」とは
「その他の事情」として考慮される主な事情は以下のとおりです。
- 職務の成果・能力・経験
- 合理的な労使慣行
- 労使交渉の経緯や結果
なお、事業主がパートタイム・有期雇用労働者の意向を十分に考慮せず一方的に待遇を決定した場合、そのこと自体が不合理と認められる事情として考慮されうる点にも注意が必要です。
均衡待遇と均等待遇の違い
| 均衡待遇(第8条) | 均等待遇(第9条) | |
|---|---|---|
| 内容 | 不合理な差を禁止 | 差別的取扱いを禁止 |
| 判断要素 | 3要素を考慮 | 2要素が同一かどうか |
| 相違の余地 | 合理的なら相違可 | 相違は一切不可 |
待遇の相違の解消にあたっての注意点
待遇の相違を解消するにあたっては、通常の労働者の待遇を引き下げることなく、パートタイム・有期雇用労働者の待遇の改善を図ることが求められます。
むすび
第8条の均衡待遇は、職務の内容・配置の変更の範囲・その他の事情の3要素を考慮して待遇ごとに個別に判断されます。
「その他の事情」には労使交渉の経緯や職務の成果・能力・経験等が含まれ、事業主が労働者の意向を無視して一方的に待遇を決定した場合もその事情として考慮されます。
相違の解消にあたっては通常の労働者の待遇引下げではなく、パートタイム・有期雇用労働者の待遇改善によって対応することが求められます。
