育児・介護休業法における不利益取扱いの禁止|原則・例外・具体例を解説

育児・介護休業法における不利益取扱いの禁止|原則・例外・具体例を解説 労働社会保険諸法令の基礎知識

育児休業等の申出や取得を理由とした不利益取扱いは、育児・介護休業法により禁止されています。

この記事では、不利益取扱いの禁止の原則・例外・具体的な取扱いの内容について解説します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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不利益取扱いの禁止(第10条・第16条等)

育児休業等の申出または取得を契機として不利益取扱いが行われた場合、原則として法違反となります。

「契機として」とは概ね1年以内を指しますが、事案により1年を超えても契機と判断される場合があります。

禁止される不利益取扱いの対象となる事由

以下を理由とした解雇その他不利益な取扱いが禁止されており、不利益取扱いの意思表示は無効と解されます。

  • 育児休業・産後パパ育休・介護休業・子の看護等休暇・介護休暇・所定外労働の制限・所定労働時間の短縮措置等・時間外労働の制限・深夜業の制限の申出または取得をしたこと
  • 本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出たこと
  • 産後パパ育休期間中の就業可能日等を申出・同意しなかったこと
  • 対象家族の介護を必要とする状況に至ったことを申し出たこと
  • 柔軟な働き方を実現するための措置の利用を申し出たこと
  • 妊娠・出産等の申出時や子が3歳になる前の時期に聴取した仕事と育児の両立に関する意向の内容

例外①

業務上の必要性から不利益取扱いをせざるをえず、業務上の必要性が当該不利益取扱いにより受ける影響を上回ると認められる特段の事情が存在するときは例外となります。なお、不利益取扱いや契機となった事由に有利な影響が存在する場合はその点も加味されます。

例外②

労働者が当該取扱いに同意している場合において、有利な影響の内容・程度が不利な影響の内容・程度を上回り、事業主から労働者に対して適切に説明がなされる等、一般的な労働者であれば同意するような合理的な理由が客観的に存在するときも例外となります。

解雇その他不利益取扱いの具体例

以下が不利益取扱いに該当します。

  • 解雇・雇止め・契約更新回数の上限引き下げ
  • 退職または正社員から非正規雇用への変更の強要
  • 自宅待機命令
  • 労働者が希望する期間を超えた所定外労働の制限等の適用
  • 降格・減給・賞与等の不利益な算定
  • 昇進・昇格の不利益な人事評価
  • 不利益な配置変更
  • 就業環境を害すること(業務に従事させない、専ら雑務に従事させる等)
  • 派遣先が当該派遣労働者にかかる労働者派遣の役務の提供を拒むこと

例えば下記のように、昇格要件として3年連続A評価が必要な場合に、育休で評価されない年があると回数がリセットされるような取扱いは不利益な人事評価に該当します。

育児・介護休業法のあらまし(令和7年12月)16 不利益取扱いの禁止

なお、不就労時間の無給や短縮による不就労時間の総和に相当する日数の日割り減額は不利益な取扱いにはなりません。

また、評価期間の全期間を就労していない場合に「評価しない」取扱いをすることは、制度の合理性・公平性を勘案して判断されます。

むすび

育児・介護休業法のあらまし(令和7年12月)16 不利益取扱いの禁止

育児・介護休業法は、育児休業等の申出・取得を契機とした不利益取扱いを原則として禁止しており、違反した場合の意思表示は無効と解されます。

例外が認められるのは、業務上の必要性が不利益を上回る特段の事情がある場合、または労働者の合理的な同意がある場合に限られます。

解雇・降格・減給だけでなく、不利益な配置変更や就業環境を害する行為も禁止対象となる点に注意が必要です。