人事制度を作るときの7つのステップ①現状分析・方針策定

人事制度を作るときの7つのステップ①現状分析・方針策定 ルール作り
人事制度を作るときの7つのステップ①現状分析・方針策定

人材不足にともなう通年採用・中途採用の増加、定年後再雇用などによる労働者の年齢構成の変化、賃金相場の上昇など、既存の人事制度での制度疲労では持続困難で、新しい時代に合わせた人事制度を作りたいというご相談が増えてきております。

具体的には、等級制度、評価制度、賃金制度、教育制度が相互にリンクした人事制度を作りたいとのことで、新卒や中途の採用者の初任給相場の上昇と既存社員との整合性についても検討したいというご希望です。

特定の企業に限らず、多くの企業様にとって共通の課題になってきています。人事制度の構築について、当事務所でのアプローチを紹介いたします。

長くなりますので、このコラムでは①現状分析・方針策定について解説します。

  1. 現状分析・方針策定
  2. 等級制度
  3. 評価制度
  4. 教育制度
  5. 賃金制度
  6. 各制度の妥当性検討
  7. 労働者へ新人事制度を周知
著者プロフィール
林 利恵
林 利恵
Rie HAYASHI, MPH, PhD

博士(医学)
特定社会保険労務士
ISO30414 リードコンサルタント/アセッサー

東豊社労士事務所 代表
株式会社東豊経営 代表取締役

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現状分析

現在の人事制度の確認

既存の人事制度の確認をいたします。

  • 既存の人事制度に関する規程
  • 評価シート
  • 賃金表 など

人件費分析

以前は統計データとの比較もしていましたが、最近では賃上げが進んでいるため、過去のデータがあまり参考にならなくなりましたので、自社内での比較をメインに分析します。

  • 今後5年間の定期昇給に必要な人件費(正社員・非正規社員)の見込み額を試算
  • 今後5年間で労働生産性を下げずに、上記で見込んた定期昇給を実行するための事業ポートフォリオの検討
  • 今後5年間の社員(正社員・非正規社員)の減員計画と増員計画を作成する
  • 退職者の補充について、基本方針をたてる
  • 過去5年間の毎月固定で支払う賃金を人件費係数=1として、総額人件費を構成する各項目(割増賃金、賞与、法定福利費、退職金引当金、福利厚生費)および総額人件費の人件費係数を算出する
  • 今後5年間の総額人件費の枠を決める

役職・年齢・賃金の分析

多くの場合、等級を組み直すことになりますので、役職、年齢構成、賃金の分布を調べます。

  • 役職 vs 年齢
  • 役職 vs 賃金 など

方針策定

等級と役職の関係

新しく設ける等級と(既存のまたは再編する)役職の対比について、お考えをお聞かせいただきます。

個別分析

可能であれば、各社員について個別に職務分析(厚生労働省の汎用8項目版)を行い、職務ポイントと現在の賃金とのギャップの有無について分析をします。

厚生労働省の汎用8項目とは(「汎用8項目」は筆者が勝手にそう呼んでます)
  • 人材代替性
  • 革新性
  • 専門性
  • 裁量性
  • 対人関係の複雑さ(部門外/社外)
  • 対人関係の複雑さ(部門内)
  • 問題解決の困難度
  • 経営への影響度

出所 職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル(厚生労働省)

横軸に職務(役割)ポイント、縦軸に時間賃率をとったプロット図(グラフ)

このグラフでは正社員とパートで色分けしていますが、正社員だけなど、同じ雇用区分同士の分析にも使えます。理想的には各プロットが正の直線関係にあることですが、実際には外れ値(理想とのギャップ)が散見されます。

出所 職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル(厚生労働省)

等級、賃金の決定要素の方針

  • 等級制度について、等級と役職を対応させた大まかなフレームワークを考えます
  • 賃金の決定要素(評価に関係)を整理します(雇用区分によって変える場合は雇用区分別に整理します)

まとめ

今回は、新しい時代に合わせた人事制度として、具体的には、等級制度、評価制度、賃金制度、教育制度が相互にリンクした人事制度を作るうえで、当事務所のアプローチをご紹介しました。

  1. 現状分析・方針策定
  2. 等級制度
  3. 評価制度
  4. 教育制度
  5. 賃金制度
  6. 各制度の妥当性検討
  7. 労働者へ新人事制度を周知

今回は、①現状分析・方針策定について次の内容でご紹介しました。

現状分析
  • 現在の人事制度の確認
  • 人件費分析
  • 役職・年齢・賃金の分析
方針策定
  • 等級と役職の関係
  • 個別分析
  • 等級、賃金の決定要素の方針

引き続き②以降も執筆予定です(2024/4/21時点)。