DX化によるテレワーク(在宅勤務)の始め方

DX化によるテレワーク(在宅勤務)の始め方 効率化・人手不足対策

テレワーク(在宅勤務)を実施しようと考えている中小企業の経営者さん

「テレワークを導入したい。しかし会社にはテレワークできない業務の社員もいます。どのようにテレワークを導入したらよいでしょうか?」

この記事では、テレワークできない業務がある会社がテレワークを実施する方法を解説します。

著者プロフィール
林 利恵
林 利恵
Rie HAYASHI, MPH, PhD

博士(医学)
特定社会保険労務士
ISO30414 リードコンサルタント/アセッサー

東豊社労士事務所 代表
株式会社東豊経営 代表取締役

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テレワーク(在宅勤務)で感じた課題

テレワーク(在宅勤務)を実施した上で感じた課題について、

調査「テレワークの労務管理などに関する実態調査(速報版)」三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2020/11/16)によりますと、

【企業】【従業員】それぞれの主な回答は次のとおりです。

【企業】

  • できる業務が限られている
  • 従業員間のコミュニケーションが取りづらい
  • 紙の資料が電子化されていない
  • 勤怠管理が難しい

【従業員】

  • 従業員間のコミュニケーションが取りづらい
  • できる業務が限られている
  • 在宅勤務に関する手続き・報告が面倒

企業と従業員の回答をそれぞれ見ますと、テレワークの課題としては次の2つに区分できると思います。

  1. 資料の電子化・コミュニケーションツールの整備等の対策をすれば、テレワークできる業務
  2. 現場作業などの物理的に人手を必要とする業務のため、テレワークできない業務

区分別にテレワーク導入の方法を解説します。

1. 整備をすればテレワークができる業務

従業員間のコミュニケーションが取りづらい

  • 会議システム(Web・TV・電話)
  • チャット
  • 情報共有ツール

紙の資料が電子化されていない

  • 紙媒体をスキャナでPDF化
  • クラウド・サーバーで共有
  • 自動的に音声を文字起こしするツール
インターネットFAXやIP電話の導入

勤怠管理が難しい、在宅勤務に関する手続き・報告が面倒

勤怠管理アプリとワークフローを活用すれば解決します!

2. 現場作業などの物理的に人手を必要とする業務のため、テレワークできない業務

テレワークできない従業員との間の不公平感

テレワークができない現場作業のある会社であっても、事務職や営業職の従業員はテレワークができる可能性があります。

一方で、ほとんどの従業員がテレワークできない業務であれば、

  • テレワークできない従業員から見ると不公平と感じるかもしれない
  • テレワークしている従業員からみると疎外感・孤独感を感じるかもしれない

よって、テレワークできない従業員とテレワークをする従業員とのバランスを保つ必要があると思います。

現業の従業員の出社日数を減らす週休3日制

そこで、現業の仕事をテレワークにすることはできないため、現業の従業員の出社日数を減らすアイデアを提案します。

具体的には、【週休3日制】の導入です。

週休3日制

現在、1日8時間、週40時間の週休2日制である場合、週休3日制にする方法は次の3通りあります。

  1. 労働時間(1日10時間、週40時間)で週の労働時間も賃金も変更なし
  2. 労働時間が減った分、賃金も減る(例:1日8時間、週32時間で賃金は4/5に減る)
  3. 労働時間は減るが、賃金は変更なし(例:1日8時間、週32時間で賃金は変更なし)
  • 1~3 いずれの場合でも、就業規則の変更が必要です。労使間で十分話し合うことが望ましいです。
  • 1.の場合は変形労働時間制やフレックスタイム制を活用します。
  • 2.の場合は賃金減額を伴いますので、就業規則の変更だけではなく、労働者の同意を取るのが原則です。

フレックスタイム制の導入は別記事に詳しく解説しています。

もしテレワークできない職種の従業員に週休3日制を導入するなら、

  1. 労働時間(1日10時間、週40時間)で週の労働時間も賃金も変更なし

をお勧めします。

なお、同じ会社・事業場で【1日8時間、週40時間:週5日勤務】と【1日10時間、週40時間:週4日勤務】の従業員が混在することは、特に差支えありません。

むすび

この記事では、テレワークができない業務のある会社がテレワークを導入する方法について解説しました。

テレワークができない業務は次の2つに区分できます。

  1. 資料の電子化・コミュニケーションツールの整備等の対策をすれば、テレワークできる業務
  2. 現場作業などの物理的に人手を必要とする業務のため、テレワークできない業務

1については、ICTツールやアウトソーシングを利用することにより対策できます。

2については、業務そのものをテレワークにすることができないため、在宅日を1日増やすアイデアとして週休3日制を提案しました。

  • テレワークできない従業員から見ると不公平と感じるかもしれない
  • テレワークしている従業員からみると疎外感・孤独感を感じるかもしれない

不公平感についてはよく指摘されるのですが、おそらく全員がテレワークできる業務である会社の方が少ないでしょう。

そろそろ、どうやってテレワーク勤務者と出社勤務者とのバランスを保つか?を考える時期かもしれません。

この記事が参考になりましたら幸いです。