中小企業の経営者さん、人事労務の担当者さんへ!この記事では、テレワーク(在宅勤務・サテライトオフィス勤務・モバイル勤務)を導入する4つのメリットを解説します。
今回紹介する、テレワーク導入の4つのメリットは、実は、オフィスでの勤務にもよい影響を与えます。テレワーク導入の4つのメリットを理解して、テレワークを導入し、企業の価値を高めていきましょう!
まずは、結論から先に述べます。企業がテレワークを導入する4つのメリットです。
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労働生産性の向上ができる
- 外部環境の変化に対応できる
- 人材の確保ができる
- 緊急事態でも事業継続ができる
順番に解説します。
労働生産性の向上ができる
労働生産性とは?
労働生産性は「労働投入量1単位当たりの産出量・産出額」として表され、労働者1人当たり、あるいは労働1時間当たりでどれだけ成果を生み出したかを示すものです。
労働生産性の式
労働生産性を増やすには
- 分子を増やす:付加価値額を増やす
- 分母を減らす:労働投入量(労働時間・労働者数)を減らす
付加価値額を増やすのは
- 既存製品・サービスに価値をプラス
- 新製品・新サービス
労働投入量を減らすのは
- 業務の改善
- 労働時間の管理
テレワーク導入で労働生産性が向上する理由
テレワーク導入の課題はビジネスICTツールによる業務の効率化・改善で解決可能
テレワーク導入が難しいと感じている企業さんにとって、テレワーク導入には、次の4つの課題があると感じているのではないでしょうか?
- コミュニケーションが取りづらい
- 資料が紙媒体
- 労務管理が難しい
- できる業務が限られている
テレワーク導入の課題解決の方法は、ズバリ、ビジネスICTツールの活用です!
ビジネスICTツールを使うことにより、テレワークを始め易くするだけではなく、オフィス出社勤務の業務もまた効率化します。
例えば、ビジネスICTツールの活用事例を挙げてみます。
- 離れた場所にいる社員への連絡がスムーズ ⇒ 何度も連絡しなくてOK(時間短縮)
- 客観的な労働時間の見える化 ⇒ ムダ・ムラ・ムリの見直し(時間短縮)
- 資料を探す時間の短縮、外出先からも閲覧可能 ⇒ 時間短縮
- 営業職や訪問看護・介護職の移動のスキマ時間に外出先からデータ入力 ⇒ 時間短縮
- 定型業務の自動化・無人化 ⇒ 時間短縮・省人化
いかがでしょうか?
よって、テレワークに限らず、オフィス出社勤務も含めた会社全体で労働生産性の向上につながると考えられます。
テレワーク導入の課題を解決するビジネスICTツール
それでは、テレワーク導入の課題を解決するビジネスICTツールを紹介します。
コミュニケーションが取りづらい
- 会議システム(Web・TV・電話)
- チャット
- 情報共有ツール
資料が紙媒体
- 紙媒体をスキャナでPDF化
- クラウド・サーバーで共有
労務管理が難しい
- 勤怠管理ツール
- 在席管理ツール
- 業務管理ツール
できる業務が限られている
- 今はテレワークができない業務がある
- ロボット化・自動化・遠隔操作
- 今後の技術発展によりテレワークが可能になるかもしれない
外部環境の変化に対応できる
外部環境の変化として次の3つを紹介します。
- グローバル化対応
- 企業文化の刷新
- 地方創生
グローバル化対応
グローバル化が進み、時差の関係で早朝・深夜に会議をせざるを得ないことがあります。
しかし、社員にとっては深夜時間帯に会社に出勤して会社の会議室にあるTV会議システムを使って会議をすることは、深夜の通勤移動など、社員の負担が大きいです。
自宅でも職場と同じ環境でWeb会議をしても、通常のオフィス出社勤務と同等のコミュニケーションができます。
企業文化の刷新
テレワークとは「離れたところで(tele)」+「働く(work)」を合わせた造語です。
テレワークは、オフィスから離れたところで仕事をします。
特に、在宅勤務では社員の私生活の場である自宅で仕事をします。
♬ 自宅で仕事だあ!イェーイ ♬ と喜ぶ社員ばかりだと困りますね。
そもそも、そういう社員さんは、きっとオフィス勤務でもパフォーマンスが良くないでしょう。
テレワークができる社員さんは、自律的で、自己管理ができる働き方ができます。
テレワークを導入することによって、総務省のテレワーク実践活用テキストブック(令和元年度)によると、
- 創造性が向上した
- タイムマネジメントの意識が向上した
- 自分の仕事に責任を持つ意識が高まった
などの効果がみられ、自律的で自己管理能力の高い社員の育成につながったというメリットもあります。
地方創生
主にサテライトオフィス勤務が想定されます。
サテライトオフィス勤務とは、所属するオフィス以外のオフィスや施設で働く形態です。
主に次の2つに分けられます。
- 自社専用のサテライトオフィス(専用型)
- 共同利用型のオフィススペース(共用型)
地方創生の点からは、次のような例が挙げられます。
- 地方の遊休施設や空き家などを活用したサテライトオフィス
- ワーケーション(「働く(work)」+「休暇(vacation)」を合わせた造語です)
都心のオフィスを離れて、豊かな自然の中で行うサテライトオフィス勤務やワーケーションを行えば、
- 社員のモチベーション向上
- 新しいアイデアやイノベーションの創出
- 地域活性化(地方創生)
などの効果が期待できますね!
人材の確保ができる
少子高齢化によって、今後ますます、人手不足のために事業が継続できない企業が増えてくるでしょう。
人手不足を解消するには、必ず次の2つに取り組む必要があります。
- 離職防止
- 採用強化
それでは、順に解説します。
離職防止
離職理由
定年や契約期間満了以外で会社を辞めた理由は、世代や性別によって多少変わるものの、次の3つの理由が多いです。
- 労働時間・休日等の労働条件が悪い
- 職場の人間関係が良くない
- 給料等の収入が少ない
離職防止のためのテレワークで想定される離職理由として、よく挙げられるのは次の4つです。
- 結婚(配偶者の転勤による転居を含む)
- 出産・育児との両立
- 家族の介護・看護との両立
- 自分の治療・障害との両立
離職理由別テレワークの効果
結婚・転居・出産・育児・介護・看護・治療・障害
- 会社が遠すぎて通勤できない
- 自宅から離れられない
- 移動が困難
という場合でも、離れた場所で仕事ができるテレワークなら、離職しなくても大丈夫です!
離職理由として統計での割合が少ないかもしれませんが、会社にとって必要不可欠な社員さんであれば、テレワークを活用して雇用を継続した方が、会社にとっても社員さんにとっても良いことだと思います。
労働時間休日などの労働条件が悪い
また、離職理由で多かった「労働時間、休日などの労働条件が悪い」についても、テレワーク導入でICTツールを活用した結果、労働時間が短縮する効果が期待できます。
職場の人間関係が良くない
テレワークでは、対面での直接接触が減ることで、人間関係が希薄になる、というデメリットが指摘されています。
確かに雑談から新しいアイデアやイノベーションが生まれたり、職場の人間関係が円滑になるというメリットがありますので、テレワークでも雑談のようなコミュニケーションが必要だと思います。
一方で、職場のハラスメントといった、対面による直接接触の悪い面もありますので、テレワークによって適切な距離感をとることにより、人間関係のストレスが緩和される場合もありそうです。
さらに、オンラインでのコミュニケーションではファクト(証拠)が残りやすいので、ハラスメントと疑われるコミュニケーションを抑制する効果もあると考えられます。
採用強化
求人広告に「テレワーク可」「在宅就業可」と書くだけで、応募者数が激増するという話を聞いたことがありませんか?
テレワークという働き方を必要とする人にとって
もし、結婚・転居・出産・育児・介護・看護・治療・障害を理由に、テレワークを導入していない会社を退職した人が、新しい仕事先を探すなら、きっと、テレワークを導入している会社に就職したいと考えるでしょう。
オフィスに出社して働ける人にとっても
テレワークを導入している企業には好感が持てると思います。
テレワークを導入している会社には、次のようなイメージを受ける人が多いのではないでしょうか?
- 通勤や職場での新型コロナウイルス感染リスクへの意識が高い
- 多様な働き方を受け入れている
- デジタル化や業務改善に積極的
テレワークと導入して、会社のイメージをアップして、求人募集・採用を有利に進めることが期待できます。
また、既に大企業では採用活動の場で「Web面接」を導入していますが、中小企業ではまだ少ないのではないでしょうか?「Web面接」で応募者の見極めが難しいため、採用選考で一定のノウハウは必要ですが、テレワーク中の社員でも「Web面接」で採用活動を行うことができるのは採用競争の強みになると思います。
緊急事態でも事業継続ができる
みなさん、BCPという言葉を聞いたことがありませんでしょうか?
中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針~緊急事態を生き抜くために~」によると、BCPとは次のように定義されています。
BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
BCPの考え方は、自然災害、人為災害、感染症など、様々な緊急事態によって、次の3つの結果を引き起こし企業活動を妨げます。
- 社員が出社できない(人手が足りない)
- 施設・建物が使えない
- 情報システムが使えない
まさに今も新型コロナウイルス感染症による緊急事態と言えるわけですが、コロナ禍によって引き起こされた結果は「社員が出社できない(人手が足りない)」だけです。
よって、今回のコロナ禍による緊急事態では、テレワークを業務継続の手段に使うことができます。
例えば、自然災害等により交通手段が使用できない場合も、テレワークによって事業継続ができます。
ただし、テレワークによって事業継続ができない場合もあります。
たとえば、緊急事態が、
- 情報システム(ハードウェア・ソフトウェア)の障害
- インフラ(ネットワーク・電力)の障害
- サイバーテロ
- 物理的な破壊
によって引き起こされた場合は、テレワークであっても事業継続できませんので、バックアップシステムにより早期に復旧させることになります。
まとめ
この記事では、中小企業の経営者、人事労務担当者に向けて、テレワーク(在宅勤務・サテライトオフィス勤務・モバイル勤務)を導入する4つのメリットを解説しました。
企業がテレワークを導入する4つのメリットは次のとおりです。
-
労働生産性の向上ができる
- 外部環境の変化に対応できる
- 人材の確保ができる
- 緊急事態でも事業継続ができる
メリットはよくわかりましたが、テレワークができない業務があるから導入が難しい…とお悩みの方には、さらに労務管理からのアプローチをご提案します。
「DX化によるテレワーク(在宅勤務)の始め方」をご参照ください。