中小企業がISO30414(人的資本経営)の認証を取得する方法をわかりやすく解説

中小企業がISO30414(人的資本経営)の認証を取得する方法をわかりやすく解説 サステナブル経営
中小企業がISO30414(人的資本経営)の認証を取得する方法をわかりやすく解説

中小企業でもISO30414の認証を取得できる可能性はありますか?

はい、中小企業でもISO30414の認証を取得することは可能です。

ISO30414の認証は、企業の規模に関係なく、人的資本の情報開示に関する国際基準を満たすことができれば取得することができます。

ただし、認証取得には一定の手続きと準備が必要です。

具体的には、ISO30414の中小企業向け10項目33指標の要求事項に従って人事データを整備し、要求事項に従って人的資本の情報開示を行うことが求められます。

私は、ISO30414 リードコンサルタント/アセッサーの資格を保有し、開業社会保険労務士として日々中小企業の経営者様への人事労務管理の助言指導をしています。

このコラムでは、中小企業がISO30414の認証を受けるために必要な取り組みについて解説します。

著者プロフィール
林 利恵
林 利恵
Rie HAYASHI, MPH, PhD

博士(医学)
特定社会保険労務士
ISO30414 リードコンサルタント/アセッサー

東豊社労士事務所 代表
株式会社東豊経営 代表取締役

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ISO30414の適合性について審査に合格する必要があります

ISO30414の理解 および 現状分析

ISO30414準拠のメリットを理解

ISO30414の認証を取得することは、中小企業の経営者にとっても大きなメリットがあると考えます。

ISO30414認証を取得することは、企業が労働者を「コスト」としてではなく「人的資本」と位置づけ、人事労務管理に取り組んでいることを示しています。

ISO30414の認証取得企業であることは、ヒトを大切にする魅力的な企業であり、優秀な人材を惹きつけることに資するものと考えます。

経験と勘による意思決定から、人事データの活用をすることにより、日々の望ましい組織のあり方への試行錯誤について、組織変更や人事施策の効果を比較・検証することができます。

また、人事データを適切に管理された形で収集するためには、HRテックと呼ばれる人事労務管理クラウド型アプリなどのツールの活用が必要になります。HRテックの活用により、人事労務管理への労力が軽減されますので、雇用環境の改善や生産性の向上にも資する効果があると考えます。

ISO30414認証企業であることは、企業が労働者を「人的資本」と位置づけ、ヒトへの投資をすることにより、中長期的に企業価値が向上することが期待されます。

中小企業向け10項目33指標の要求事項を理解しましょう

中小企業向け10項目33指標の要求事項(後述します)は次の通りです。

  • 倫理とコンプライアンス
  • コスト
  • ダイバーシティ
  • 組織風土
  • 健康・安全・幸福
  • 生産性
  • 採用・異動・離職
  • スキルと能力
  • 後継者計画
  • 労働力

現在の社内・社外向けの人的資本の公開情報の適合性を調査します

現在の社内・社外向けの人的資本の公開情報の適合性を調査します。

具体的には、上記の各指標について次の3つの審査項目(後述します)で適合性(準拠・部分準拠・非準拠)を調査します。

  • データ取得度
  • データ開示度
  • 比較可能性

中小企業向け10項目33指標についてISO30414への準拠度が詳細に審査されます

中小企業向け10項目33指標に必要な情報やデータの収集

10項目33指標に必要な人事データを収集し、要求事項に沿って情報やデータを整理し、集計します

  • 提起された苦情の種類と件数
  • 倫理・コンプライアンス研修を受けた従業員の割合
  • 第三者に解決を委ねられた紛争
  • 外部監査で指摘された事項の数と種類
  • 総労働力コスト
  • 外部労働力コスト
  • 総雇用コスト
  • 年齢
  • 性別
  • 障害
  • その他
  • エンゲージメント/満足度/コミットメント
  • 従業員の定着率
  • 労災の件数(発生率)
  • 労災による死亡者数(死亡率)
  • 健康・安全研修の受講割合
  • 従業員1人あたりEBIT/売上/利益
  • 人的資本RoI
  • 重要ポストの割合
  • 離職率
  • 離職の理由
  • 人材開発・研修の総費用
  • 研修の参加率
  • 従業員1人当たりの研修受講時間
  • 内部継承率
  • 後継者候補準備率
  • 総従業員数
  • 総従業員数(フルタイム労働者/パートタイム労働者)
  • フルタイム当量(FTE)
  • 臨時の労働力(独立事業主)
  • 臨時の労働力(派遣労働者)
  • 欠勤率

10項目33指標について、準拠できていない部分を把握し、改善します

各審査項目の判断要素は次の通りです。

  • データ取得
  • システム統合
  • データ準拠度
  • 責任体系
  • データ安全性
  • データ信頼度
  • 社内
  • 社外(社外は対象外の項目もあります)
  • データ定義
  • 情報クオリティ
  • データ仕分け
  • 1年目
  • 2年目
  • 3年目
  • 経年での改善
  • 自社KPI、他社

ISO30414に準拠できていない部分を改善する必要があります

ISO30414 リードコンサルタント/アセッサー によるサポート

「ISO30414 リードコンサルタント/アセッサー」とは、ISO30414の認証機関である株式会社HCプロデュースの「ISO30414 プロフェッショナル認証講座」を受講・試験合格により取得できる資格です。

ISO30414への深い理解や、認証取得のために、自社の社員が「ISO30414 リードコンサルタント/アセッサー」を取得し、ISO30414に準拠するための取り組みを行うことが多いと思います。

一方で、最近の人手不足を背景に自社の労働力を本業へ集中させたい等の場合は、ISO30414の認証取得に向けた外部労働力として「ISO30414 リードコンサルタント/アセッサー」を有するコンサルタントの助言指導を受けて認証に向けた取り組みをして頂くことも有用だと考えます。

中小企業がISO30414の適合性について審査に合格するために必要なこと


ISO30414の認証を取得するためには、次の手順で取り組みを行う必要があります。

認証申請までのタイムラインの一例
(期間は目安です。諸事情により更に長くなることがあります
  • Step 1(約6ヶ月)
    人事データ・開示状況の確認
    • 書面審査
    • インタビュー
    • 実査 など
  • Step 2(約1か月)
    中間評価

    適合度をチェックします

  • Step 3(3~6ヶ月)
    改善提案、不足情報の収集
    • 書面審査
    • インタビュー
    • 実査 など
  • Step 4(約1か月)
    開示レポート作成

    審査・認証へ進みます(日本では株式会社HCプロデュースが審査及び認証を行います)

人事データを安全に信頼ができる形で取得し、管理し続けるためには、HRテック(人事労務管理クラウド型アプリ)を用いることが近道だと考えます。

HRテックの導入に関しては、下記リンク先のコラムをご参照ください。

まとめ

今回のコラムでは、中小企業がISO30414(人的資本経営)の認証を取得する方法を、できるだけわかりやすく解説いたしました。

ISO30414の適合性について、中小企業向け10項目33指標について準拠度を詳細に審査されます。

審査項目は次の3項目です。

  • データ取得度
  • データ開示度
  • 比較可能性

データは安全に信頼ができる形で収集し、適切に管理をし続ける必要があります。

また、経年での改善、自社KPIやベンチマークとの比較を行うことにより、人的資本経営の継続的改善を行います。

中小企業がISO30414の認証を受けることにより次のメリットがあります。

  • 採用競争力が増強されます
  • 人事データを活用した戦略的な予防的労務管理が実践できます
  • サステナビリティ経営により社会的評価が向上します

ISO30414認証取得のためには、ISO30414 リードコンサルタント/アセッサーのサポートを受けることが近道だと考えます。

ISO30414 リードコンサルタント/アセッサーの資格取得のための人的資源の確保が難しい中小企業様におかれましては、「ISO30414 リードコンサルタント/アセッサー」を有するコンサルタントの助言指導を受けて認証に向けた取り組みをして頂くことをご提案いたします。

東豊社労士事務所は、特定社会保険労務士博士(医学)ISO30414(人的資本開示)リードコンサルタント/アセッサー、のトリプルライセンスによる専門性を持つ代表社労士 林 利恵が企業の実情に応じた人的資本経営の助言指導をいたします。

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