健康保険・厚生年金保険の被保険者資格確認制度とは?不服がある場合の対処法

健康保険・厚生年金保険の被保険者資格確認制度とは?不服がある場合の対処法 労働社会保険諸法令の基礎知識

健康保険・厚生年金保険では、被保険者資格の取得・喪失や標準報酬の決定に誤りがあった場合、適切な手続きによって是正を求めることができます。保険料負担や将来の給付額に直結する重要な制度です。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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被保険者資格の確認とは

事業主が行った厚生年金保険の資格取得・喪失の届出や、標準報酬月額の決定に誤りや疑義がある場合、被保険者または被保険者であった者が厚生労働大臣や健康保険組合に対して確認を求めることができる制度です。

具体的には、実際には被保険者資格があるのに届出がされていない、標準報酬月額が実態と異なるなどのケースで利用されます。

根拠条文(抜粋)
厚生年金保険法 第31条
被保険者又は被保険者であった者は、いつでも第18条第1項の規定による確認を請求することができる。

厚生年金保険法 第18条
被保険者の資格の取得及び喪失は、厚生労働大臣の確認によって、その効力を生ずる。ただし、第10条第1項の規定による被保険者の資格の取得及び第14条第3号に該当したことによる被保険者の資格の喪失は、この限りでない。

健康保険法 第51条
被保険者又は被保険者であった者は、いつでも第39条第1項の規定による確認を請求することができる。

健康保険法 第39条
被保険者の資格の取得及び喪失は、保険者等(被保険者が協会が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては厚生労働大臣、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては当該健康保険組合をいう。
第164条第2項及び第3項、第180条第1項、第2項及び第4項並びに第181条第1項を除き、以下同じ。)の確認によってその効力を生ずる。ただし、第36条第4号に該当したことによる被保険者の資格の喪失並びに任意継続被保険者の資格の取得及び喪失は、この限りでない。

日本年金機構 自身の被保険者記録について確認を請求するときの手続き より

処分に不服がある場合の対応

日本年金機構による被保険者資格や標準報酬に関する処分に不服がある場合は、審査請求や再審査請求といった不服申立て手続きを行うことができます。処分の通知を受けた日の翌日から起算して定められた期限以内に手続きが必要です。

次の記事で詳しく解説していますので参照してください。

是正された場合の取扱い

資格確認の結果、誤った資格や標準報酬が是正された場合、原則として過去に遡って正しい内容に修正されます。これにより、保険料の追徴または還付が発生し、将来受け取る年金額にも影響を与えます。

実務上のポイント

資格取得時や標準報酬決定時の届出内容は、必ず従業員本人にも確認してもらうことが重要です。疑義がある場合は早期に年金事務所に相談し、適切な対応を取りましょう。

厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システム

誰でも全国の事業所の厚生年金保険・健康保険の加入状況を検索することができます。

厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システム(日本年金機構ホームページ)