労働組合法の争議行為・総まとめ|正当性の要件とショップ制を解説

労働組合法の争議行為・総まとめ|正当性の要件とショップ制を解説 労働社会保険諸法令の基礎知識

労働組合法シリーズの最終回として、この記事では争議行為の正当性とショップ制、そして労働組合法の全体像についてまとめます。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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争議行為とは

争議行為とは、労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為であって、業務の正常な運営を阻害するものです。

争議行為の例

  • ストライキ(同盟罷業):労働者が集団で労務の提供を拒否
  • 怠業(サボタージュ):労務提供しつつ作業能率を低下させる
  • ピケッティング:スト破りを防ぐため職場入口等で説得活動
  • ボイコット:使用者の製品・サービスの不買運動

争議行為の正当性

正当な争議行為には刑事免責・民事免責が認められます。正当性の要件は次のとおりです。

①主体 労働組合または労働者の団体(一部組合員の独自行動は不当:山猫スト)

②目的 労働条件の維持・改善等の経済的目的(純粋な政治目的は不当)

③手続 組合の正規の手続きに基づくこと(無断・独断での実施は不当)

④態様 暴力の行使等を伴わないこと(暴力・脅迫・施設占拠は不当)

正当な争議行為は刑事罰を受けず(刑事免責)、損害賠償責任も負いません(民事免責)。

正当性が否定される例

次のような争議行為は正当性が否定されます。

  • 政治ストライキ(純粋な政治目的)
  • 山猫スト(組合の統制に反する一部組合員の独自スト)
  • 暴力を伴うピケッティング
  • 生産管理(使用者の施設を占拠して生産活動)

争議行為と賃金

ノーワーク・ノーペイ 争議行為中の不就労時間に対し賃金請求権はありません。

部分スト ストに参加しない労働者も就労不能なら賃金請求権はないとされます。

ユニオンショップ協定

ユニオンショップ協定とは、使用者が組合員のみを雇用し、組合を脱退・除名された者を解雇する義務を負う協定です。

解雇義務の効力は判例で制限があります(他組合加入者には及ばない等)。

ショップ制の種類

ショップ制には、次の3つがあります。

  • オープンショップ(組合加入・脱退は完全に自由)
  • ユニオンショップ(採用後、組合に加入しなければ解雇)
  • クローズドショップ(採用時点で組合員であることが条件)

チェックオフ協定

チェックオフ協定とは、使用者が労働者の賃金から組合費を控除し、組合に一括して渡す協定です。

労働基準法第24条の賃金全額払いの例外として労使協定が必要です。ただし、個別の同意も必要です。

労働組合法のポイント

労働組合法の重要なポイントは、次のとおりです。

  • 労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)の保障
  • 不当労働行為からの保護(労働委員会による救済)
  • 労働協約の規範的効力(就業規則より優先)
  • 正当な争議行為の刑事免責・民事免責

むすび

争議行為は、主体・目的・手続・態様の4要件を満たせば正当性が認められ、刑事免責と民事免責が与えられます。

政治ストや山猫スト、暴力を伴う行為は正当性が否定されます。

ショップ制にはオープン、ユニオン、クローズドの3種類があり、チェックオフ協定には労使協定と個別同意が必要です。

労働組合法は、労働三権の保障、不当労働行為からの保護、労働協約の規範的効力、正当な争議行為の免責を柱とする重要な法律です。これで労働組合法シリーズが完結しました。