労働保険の請負事業の一括|建設業の元請・下請と労災保険の仕組みを解説

労働保険の請負事業の一括|建設業の元請・下請と労災保険の仕組みを解説 労働社会保険諸法令の基礎知識

労働保険の請負事業の一括は、建設の事業において元請負人のみを事業主とみなし、下請負人の労働者も含めて一括して労災保険を適用する制度です。

この記事では、一括の効果と下請負事業の分離について解説します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
-----------------
博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
-----------------
医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
-----------------
オンライン相談(Zoom)で全国対応
まずは無料相談(30分)から
【無料相談お申し込み】

請負事業の一括とは

請負事業の一括とは、建設の事業が数次の請負によって行われる場合に、元請負人のみを事業主とみなし、下請負人の労働者も含めて一括して労災保険を適用する制度です。

建設現場では、元請・下請・孫請と複数の事業者が関わります。この制度により、現場全体の労災保険を元請負人がまとめて管理する仕組みになっています。

一括の効果

請負事業の一括には、次の効果があります。

元請負人が労災保険料を一括して負担・納付します。下請負人の労働者も元請の労災保険でカバーされるため、下請負人は労災保険の保険関係成立届が不要になります。

対象

請負事業の一括の対象は、建設の事業のみです。また、労災保険に限った制度です。

雇用保険は各事業主が個別に適用するため、下請負人も自社の労働者について雇用保険の手続きを行う必要があります。

届出

請負事業の一括については、特別な届出は不要です。要件を満たせば、法律上当然に一括されます。

下請負事業の分離

下請負人が元請負人から独立して保険関係を成立させたい場合は、厚生労働大臣の認可を受けて分離することができます。

認可を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

下請負事業の概算保険料が160万円以上、または請負金額が1億8,000万円以上(消費税抜き)であることが必要です。また、元請負人と下請負人の合意が必要です。

提出期限は、下請事業の開始後10日以内です。「下請負人を事業主とする認可申請書」(様式第4号)を提出します。

むすび

請負事業の一括は、建設業の複雑な請負構造において、元請負人が現場全体の労災保険を一括管理する制度です。

下請負人の労働者も元請の労災保険でカバーされるため、現場全体の安全管理と保険手続きが効率化されます。

一方、一定規模以上の下請負事業は、厚生労働大臣の認可を受けて分離することも可能です。なお、雇用保険は一括の対象外で、各事業主が個別に手続きを行う点に注意が必要です。