労災保険の休業(補償)等給付|支給要件と計算方法を解説

労災保険の休業(補償)等給付|支給要件と計算方法を解説 労働社会保険諸法令の基礎知識

労災保険の休業(補償)等給付は、業務災害や通勤災害により働けなくなった労働者の所得を補償する給付です。この記事では、支給要件と計算方法について解説します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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休業(補償)等給付とは

業務災害の場合は「休業補償給付」、通勤災害の場合は「休業給付」と呼ばれます。

労災により療養のため働けず、賃金を受けられない期間について支給される給付です。

支給要件

休業(補償)等給付を受けるためには、次の3つの要件をすべて満たすことが必要です。

①業務上または通勤による傷病の療養中であること 労災認定された傷病の治療を受けている必要があります。

②労働することができないこと 療養のため就労が不可能な状態であることが要件です。

③賃金を受けていないこと 休業期間中に賃金の支払いがないことが必要です。ただし、一部賃金を受けている場合でも差額が支給されることがあります。

支給額と待期期間

支給額 休業4日目から、休業1日につき給付基礎日額の60%が支給されます。さらに、休業特別支給金として20%が上乗せされるため、合計80%の所得補償となります。

待期期間 最初の3日間は労災保険からの支給はありません。この3日間を待期期間といいます。

待期期間中の取扱いは、業務災害と通勤災害で異なります。

  • 業務災害:事業主が休業補償(平均賃金の60%)を支払う義務があります
  • 通勤災害:事業主の補償義務はありません

給付基礎日額

給付基礎日額は、原則として平均賃金相当額で計算されます。具体的には、事故が発生した日の直前3か月間に支払われた賃金総額を、その期間の暦日数で割った金額です。

ただし、平均賃金をそのまま用いることが不適切な場合は、厚生労働省令で定める最低限度額(自動変更対象額)に修正されます。

給付基礎日額の最低保障額(自動変更対象額)について

労災保険の給付は、被災された労働者の被災日以前3ヶ月間に支払われた賃金を基礎として計算される給付基礎日額を基に算定されることとなりますが、その額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるとき、例えば、最低保障額として定められた額(自動変更対象額)に満たない場合は、最低保障額を給付基礎日額とします。
 ただし、スライド制が適用されることにより最低保障額を超えないときに限り、最低保障額をスライド率で除した額を給付基礎日額とすることとなります。
 令和7年8月1日以降に適用される給付基礎日額の最低保障額は、4,250円です。上記1(3)と同様の理由により、改定前の4,090円から160円引き上げられています。

スライド率等の改定に伴う労災年金額の変更について|厚生労働省

むすび

休業(補償)等給付は、労災により働けなくなった労働者の生活を支える重要な制度です。支給には3つの要件をすべて満たす必要があり、待期期間後の4日目から給付が開始されます。業務災害と通勤災害では待期期間中の取扱いが異なる点に注意が必要です。

3-5 休業(補償)等給付の計算方法を教えてください。|厚生労働省

スライド率等の改定に伴う労災年金額の変更について|厚生労働省