これまで労働保険(労災保険・雇用保険)について解説してきましたが、ここから新しい科目である労働基準法の解説を始めます。この記事では、労働基準法の目的と適用範囲について解説します。
労働基準法とは
労働基準法とは、労働条件の最低基準を定めた法律です。
憲法第27条第2項「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」に基づいて制定されています。
目的
労働基準法の目的は、第1条第1項に明記されています。
「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」
労働者の最低限の生活を保障することが目的です。
適用事業
労働基準法は、原則として労働者を使用するすべての事業に適用されます。
事業の種類・規模を問わず適用されます(国家・地方公務員などは一部除外)。
労働者の定義

労働者とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいいます。
使用従属関係があるかどうかで判断されます。
見直しの動き 昭和60年12月19日の基準から約40年が経過しています。働き方の多様化を踏まえ、厚生労働省は「労働基準法における『労働者』に関する研究会」(令和7年4月設置)で見直しを検討中です。
使用者の定義

使用者には、次の3つが含まれます。
①事業主 法人組織の法人そのもの、個人事業主
②事業の経営担当者 法人の代表者、役員等
③その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者 労働条件の決定、業務命令の発出、具体的な指揮監督を行う者
上司の命令の伝達者にすぎない場合は、使用者には当てはまりません。
監督機関
労働基準法の監督機関は、労働基準監督署・労働基準監督官です。
基準を下回った場合の効果
労働基準法の基準に達しない労働契約は、その部分は無効となります。
無効となった部分は、自動的に労働基準法の基準に置き換わります。
むすび
労働基準法は、労働条件の最低基準を定め、労働者の生活を保障する重要な法律です。
すべての事業に適用され、基準を下回る契約は無効となります。
労働者の定義については、働き方の多様化に対応するため現在見直しが検討されています。
これから労働基準法の各論(労働時間、休日、賃金など)について順次解説していきます。
