厚生年金保険の養育期間標準報酬月額特例を活用しよう

厚生年金保険の養育期間標準報酬月額特例を活用しよう 労働社会保険諸法令の基礎知識

3歳未満の子どもを養育しながら働く方を対象に、将来の年金額が不利にならないよう配慮した特例制度があります。育児と仕事の両立を経済面から支える重要な仕組みです。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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特例の仕組み

育児のために短時間勤務や時差出勤等を利用し、標準報酬月額が低下した場合でも、養育開始前の高い標準報酬月額で将来の年金額を計算できる制度です。これにより、育児期間中の収入減少が老後の年金額に悪影響を与えることを防ぎます。

保険料負担と年金額の関係

この特例の大きな特徴は、保険料負担と年金額の計算基準が異なる点です。

毎月支払う厚生年金保険料は、実際に低下した標準報酬月額に基づいて計算されるため、育児期間中の保険料負担は軽減されます。一方で、将来受け取る年金額の計算には、養育開始前の高い標準報酬月額が用いられるため、年金額は従前の水準を維持できます。

適用要件と注意点

この特例を受けるには、養育開始月の前月から遡って1年以内に厚生年金保険の被保険者期間が必要です。転職や空白期間がある場合は適用を受けられない可能性がありますので、注意が必要です。

実務上のポイント

事業主を経由して年金事務所への届出が必要です。育児休業から復帰して短時間勤務を開始する際は、この特例の利用を検討しましょう。

詳しくは日本年金機構ホームページ「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」をご参照ください。