労働安全衛生法の安全衛生管理体制②|産業医と作業主任者の役割を解説

労働安全衛生法の安全衛生管理体制②|産業医と作業主任者の役割を解説 労働社会保険諸法令の基礎知識

前回の安全衛生管理体制①に続き、この記事では産業医と作業主任者について解説します。

産業医は労働者の健康管理の中心的な役割を担う重要な存在です。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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産業医(第13条)

産業医は、労働者の健康管理等を行う医師です。

選任義務 業種を問わず、常時50人以上の事業場で選任が必要です。

資格要件 一定の要件を備えた医師である必要があります。

選任報告 選任すべき事由が発生した日から14日以内に労働基準監督署へ届出が必要です。

2026年8月から、産業医の辞任・解任があったときの報告が義務化されます。

労働安全衛生規則の一部を改正する省令案の概要について(諮問)(産業医関係)|第184回安全衛生分科会資料

50人未満の事業場には産業医の選任義務はありませんが、健診結果の事後措置などの健康管理等を行う医師(地域産業保健センターなど)を確保する努力義務があります。

産業医の職務

産業医には、次のような幅広い職務があります。

  • 健康診断の実施とその結果に基づく措置
  • 長時間労働者への面接指導
  • ストレスチェックの実施と高ストレス者への面接指導
  • 月1回以上の職場巡視
  • 作業環境の維持管理、作業管理
  • 健康教育、健康相談
  • 衛生教育
  • 労働者の健康障害の原因調査、再発防止措置

産業医の選任数・専属要件

事業場の規模により、次の選任数と専属要件があります。

選任数

  • 常時50人以上:1人以上
  • 常時3,000人超:2人以上

専属の産業医が必要な場合

  • 常時1,000人以上の事業場
  • 有害業務に常時500人以上従事する事業場

産業医の権限強化

産業医の権限は、次のように強化されています。

  • 事業者は産業医に必要な情報を提供しなければなりません
  • 産業医の勧告を受けた場合、衛生委員会に報告しなければなりません
  • 産業医の業務内容等を労働者に周知しなければなりません

働き方改革関連法により2019年4月1日から「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます|厚生労働省

作業主任者(第14条)

作業主任者は、危険・有害な作業について、作業の指揮等を行う者です。

選任義務 政令で定める作業ごとに選任が必要です。

資格要件 免許または技能講習修了者である必要があります。

届出 選任のみで、届出義務はありません。

作業主任者の選任が必要な業務一覧表|特別民間法人 中央労働災害防止協会

むすび

産業医は、常時50人以上の事業場で選任が必要であり、健康診断、長時間労働者への面接指導、ストレスチェック、職場巡視など幅広い職務を担います。

1,000人以上または有害業務500人以上の事業場では専属の産業医が必要です。

産業医の権限は強化されており、事業者には情報提供や勧告への対応が義務づけられています。

作業主任者は危険・有害な作業ごとに選任が必要ですが、届出義務はありません。

適切な安全衛生管理体制の整備が、労働者の健康と安全を守る基盤となります。