厚生年金などの公的年金は、老後の生活を支える重要な収入源です。この年金を確実に受け取れるよう、法律で特別な保護が定められています。
年金受給権は譲渡・担保・差押えが禁止
厚生年金保険法第41条により、年金を受ける権利は原則として「譲渡」「担保」「差押え」が禁止されています。これは、年金が生活保障としての性格を持つため、債権者への返済や差押えの対象とならないよう保護するものです。
具体的には、年金受給権を他人に譲り渡すこと、借金の担保に入れること、債権者が差し押さえることが認められていません。この規定により、年金受給者の最低限の生活が守られています。
(受給権の保護及び公課の禁止)
引用 厚生年金保険法 e-Gov法令検索
第四十一条 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
2 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢厚生年金については、この限りでない。
老齢厚生年金の例外規定
ただし、老齢厚生年金については一つだけ例外があります。国税滞納処分による差押えに限り、差押えが認められています。これは国税徴収の実効性を確保するための特別な規定です。
実務上のポイント
年金は原則として保護されますが、既に口座に振り込まれた年金は預貯金として扱われ、一定の制限のもとで差押えの対象となる可能性があります。年金の法的保護の範囲を正しく理解しておくことが重要です。
