厚生年金保険は原則として事業所で働く全従業員が加入対象ですが、一定の条件に該当する場合は適用が除外されます。雇用形態や労働条件に応じた除外要件を正しく理解しましょう。
適用除外となる5つのパターン
①短期雇用の従業員 日雇労働者は原則として適用除外です。ただし、1ヶ月を超えて継続雇用された場合は加入対象となります。また、2ヶ月以内の期間を定めて雇用され、延長の見込みがない従業員も除外されますが、実際に2ヶ月を超えて雇用された時点で加入対象です。
ただし、以下のいずれかに該当する場合は、雇い入れ時に遡り社会保険に加入させなければなりません。
- 就業規則、雇用契約書等において、その契約が「更新される旨」、または「更新される場合がある旨」が明示されている場合
- 同一事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が、更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合


さらに詳しくは、日本年金機構の「年金制度の機能強化のための国民年
金法等の一部を改正する法律の施行(令和4年 10 月施行分)に伴う事務
の取扱いに関するQ&A集」を参照してください。
②場所が移動する事業所で働く従業員 巡回興行や移動遊園地など、事業所の所在地が一定しない事業に従事する従業員は適用除外となります。
③季節的業務に従事する従業員 海の家やスキー場など、季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて雇用される従業員は除外されますが、4ヶ月を超えて使用される場合は加入対象です。
④臨時的事業所で働く従業員 6ヶ月以内の期間限定事業所で働く従業員は除外されますが、6ヶ月を超えて事業が継続される場合は加入対象となります。
⑤一定の短時間労働者 週所定労働時間20時間未満、月額賃金88,000円未満(交通費等を除く)、または学生(高校生、大学生等)に該当する短時間労働者は適用除外です。
実務上の重要ポイント
正社員の4分の3以上の労働時間・日数で働く従業員は、上記の要件に関わらず加入対象となります。また、短時間労働者でも一定の条件を満たせば加入できる場合がありますので、個別の判断が必要です。
(適用除外)
厚生年金保険法 第12条(適用除外)e-Gov法令検索
第十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、第九条及び第十条第一項の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。
一 臨時に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)であつて、次に掲げるもの。ただし、イに掲げる者にあつては一月を超え、ロに掲げる者にあつては定めた期間を超え、引き続き使用されるに至つた場合を除く。
イ 日々雇い入れられる者
ロ 二月以内の期間を定めて使用される者であつて、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの
二 所在地が一定しない事業所に使用される者
三 季節的業務に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)。ただし、継続して四月を超えて使用されるべき場合は、この限りでない。
四 臨時的事業の事業所に使用される者。ただし、継続して六月を超えて使用されるべき場合は、この限りでない。
五 事業所に使用される者であつて、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者(当該事業所に使用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に使用される者にあつては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該者と同種の業務に従事する当該通常の労働者。以下この号において単に「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者(一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い者をいう。以下この号において同じ。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからハまでのいずれかの要件に該当するもの
イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。
ロ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第二十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。
ハ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。

