労災保険の支給制限と一時差し止め|3つのケースを解説

労災保険の支給制限と一時差し止め|3つのケースを解説 労働社会保険諸法令の基礎知識

労災保険では、労働者や事業主の行為によって、保険給付が制限または差し止めされる場合があります。この記事では、支給制限と一時差し止めの要件について解説します。

林 利恵

Rie HAYASHI, MPH, PhD
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博士(医学)
特定社会保険労務士
東豊社労士事務所 代表
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医学研究者から社労士へ転身
労働衛生の専門知識を活かし
・就業規則作成
・メンタルヘルス対策
・両立支援
を得意としています
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全部不支給(絶対的支給制限)

労働者が故意に負傷・疾病・障害・死亡、またはその直接の原因となる事故を起こした場合、保険給付は行われません。

これを絶対的支給制限といい、給付が完全に行われないケースです。

全部または一部の支給制限(相対的支給制限)

次の場合は、保険給付の全部または一部を行わないことができます。

故意の犯罪行為または重大な過失により事故を起こした場合 労働者の故意の犯罪行為や重大な過失が原因で事故が発生した場合です。

正当な理由なく療養に関する指示に従わない場合 医師の療養指示に正当な理由なく従わない場合も、支給制限の対象となります。

これを相対的支給制限といい、状況に応じて全部または一部が制限されます。

一時差し止め

正当な理由なく、報告・届出・出頭命令・受診命令に従わない場合、保険給付の支払を一時差止めることができます。

命令に従えば、差し止めは解除されます。

自殺と労災認定

自殺に関する労災認定には、特別な取扱いがあります。

原則 故意による自殺は、原則として労災保険給付の対象外となります。

例外 過労自殺など、業務起因性が認められる自殺は、業務災害として認められる場合があります。

例えば、長時間労働やパワーハラスメントにより精神障害を発症し、その結果として自殺に至った場合などです。

むすび

労災保険の支給制限制度は、労働者の故意や重大な過失、指示違反などがある場合に適用されます。絶対的支給制限では給付が全く行われず、相対的支給制限では状況に応じて全部または一部が制限されます。

また、命令違反の場合は一時差し止めとなります。自殺については原則として対象外ですが、業務起因性が認められる場合は例外的に業務災害と認定されることがあります。